【デジタルイラスト特別講義!】透明水彩風の髪の塗り方講座

透明水彩風髪の塗り方_アイキャッチ画像

デジタルを使って透明水彩塗りをマスターしよう! 透明水彩独特のにじみや、白を残してハイライトを表現する手法を徹底解説! アナログ技法をデジタルで再現する手法を『デジタルイラストの「塗り」事典』から特別掲載!

 

今回はCLIP STUDIO PAINT PROを使って透明水彩塗りの手法を使ってキャラクターの髪を塗って行く工程を4ステップご紹介します!

 

髪には比較的強めのハイライトが入ります。アナログの水彩画の場合、ハイライト部分を白く残すことが重要です。

それはデジタルでも変わりませんが、さらに一手間加えてよりきれいに見える方法を探っていきましょう。

 

01 髪を塗る

髪の選択範囲をとり、髪を塗っていきます。
髪は、にじみを多用したラフな塗りにしたかったため、下図のオリジナルブラシ「繊維塗り」の設定をさらに調整しました。

 

 

9302_brush

↑カスタマイズした「繊維塗り」ブラシの設定。CLIP STUDIO PAINTに最初から入っている[水彩]の[不透明水彩]を元に作成しています。[色混ぜ]の[繊維にじみ]と同じブラシ先を使って着色するブラシで、和紙に塗ったような繊維のにじみが特徴です。

 

上記の[繊維塗り]ブラシの詳細設定画面から[水彩境界]という項目ににチェックを入れて[繊維塗り境界]というブラシを作ります。

 

9302 (2)

 

 

そのまま使うとまったくアナログっぽく見えませんが、塗った後に[繊維にじみ]で適度にぼかすと、いかにもアナログ水彩風に見えます。
このとき、[レイヤープロパティ]の[水彩境界]にもチェックを入れておきます。

 

「基本」という名前のレイヤーを作成し、髪を塗ります。ハイライトを残すようなイメージで、先ほど作った[繊維塗り境界]を使って色を塗り[繊維にじみ]でぼかします。

 

髪のフチにハイライトを少し入れます。オリジナルブラシ[水彩境界ブラシ]を使い、色は[透明色]を選びます。こうすることでブラシを[消しゴム]のように使えます。

 

9023_kyokai_brush

↑[水彩境界ブラシ]の設定。[繊維塗りブラシ]と同様に[水彩]の[不透明水彩]を元に作成しています。

水彩をつけ
絵の具量、絵の具濃度、ブラシ濃度に[筆圧]のチェックを入れて、筆圧によって色の濃さを調整できるようにしています。

 

 

9302 (3)

 

02 影を入れる

基本レイヤーの上に「1影」レイヤーを作成し、エッジのハッキリとした影を描いていきます。色は紫を選びました。周りに青が多いので、その青を映し込んでいる…というイメージです。

 

9302 (4)

 

 

「1影レイヤー」の上に「ボケ影」レイヤーを作成し、[繊維塗り]を使って色を塗っていきましょう。色は「1影」とほぼ同じ紫です。

 

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影にしたい部分に色を乗せます。[繊維塗り]で塗ることで、透明水彩特有のぼかしの効果が期待できます。

 

9302 (6)

 

03 ハイライトを強調する

「透明水彩風」ということであれば02 のまでで十分よいのですが、やはりデジタルなりのメリットも享受したいところです。
今回はハイライト用に[加算(発光)]モードのレイヤーを作成しました。このレイヤーに、暗めの茶色を入れることできれいなハイライトを表現できます。

 

9302 (7)

 

 

9302 (8)

 

もちろんこれはアナログの水彩では不可能ですが、これこそが「デジタル水彩」としてのメリットだと思います。

「アナログ水彩らしさ」を大事にしつつもそれだけにこだわらず、より高い表現力を目指してください。

 

04 照り返しを入れる

「照り返し等」というレイヤーを作成し、合成モードを[スクリーン]にします。

 

「照り返し」とは、周りの色を移し込む現象ですので、今回は隣の女の子の髪の毛色を[スポイト]で取り、その色を向かって右側に入れてみました。
さらに雨をイメージした青色を向かって左側にも入れてあります。こうすることでリアルさもアップしますし、結果的に顔の中心が濃くなることで、そこを目立たせることも可能です。

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最後に「差し色」というレイヤーを作成し合成モードを[ハードライト]にします。このレイヤーでは「照り返し」をより強調するような差し色で塗っています。

 

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完成!

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完成図

※本記事は11人の実力派プロ絵師がCLIPSTUDIO PAINT PROでのキャラ塗りテクニックを徹底解説した書籍『デジタルイラストの「塗り」事典 CLIP STUDIO PAINT PROで描く! 多彩な描画のテクニック56』より内容を特別掲載頂きました。

 

ここで解説している透明水彩の作例を元にした髪以外の色塗りテクニックも書籍にはたくさん掲載されています!

 

「アニメ塗り」「ブラシ塗り」「水彩風塗り」などの基本の塗りから、「和風塗り」「アナログ風塗り」などの個性ある塗り、さらには配色、エフェクトの技まで多彩な塗りのテクニックを整理して事典形式で紹介。
「肌」「服」「髪」「瞳」などパーツごとに解説しているので
・さまざまな塗り方の「瞳」だけを学ぶ
・「肌」は「ブラシ塗り」、「髪」は「水彩風塗り」など異なる塗りを組み合わせる
などの使い方ができるので、自分に合った塗りを探すのにも役立つ一冊となっています。

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『デジタルイラストの「塗り」事典 CLIP STUDIO PAINT PROで描く! 多彩な描画のテクニック56』

 

■書籍筆者紹介

『デジタルイラストの「塗り」事典 CLIP STUDIO PAINT PROで描く! 多彩な描画のテクニック56』では以下11名のイラストレーターによる各種塗り方の講座を解説しております、是非自分にあった塗り方を見つけてみましょう!

・アニメ塗り(こいつ) 肌/髪/瞳/服/宝石/グロー効果
・ブラシ塗り(東雲ハル) 肌/服/髪/瞳/透明/逆光
・水彩塗り(人米) 肌/髪/服/瞳/メガネ
・厚塗り(まつゆき杏) 服/髪/肌/瞳/花
・発光塗り(Shionty) 肌/髪/服/瞳/金属/発光
・ギャルゲ塗り(おーじ茶) 肌/服/髪/瞳/動物/色トレス
・透明水彩塗り(おぎのひとし) 肌/髪/瞳/服/傘/テクスチャ
・アナログ風塗り(出水ぽすか) 線画/肌/服/髪/瞳
・和風塗り(阿桜) 線画/肌・髪/服/瞳/ぼかし
・配色(be) 黒を活かしたイラスト/色のパターン
・エフェクト(ゾウノセ) 炎/水/風/雷

 

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