【小学館 まんが家養成講座】ストーリー発想法と自己チェックポイント

ストーリー発想法と自己チェックポイント

まんがの描き方を基礎から教える【小学館 まんが家養成講座】!今回は具体的なストーリー構成の作り方と注意点をレクチャーします。おおまかな構成ができたら、より細かな構成をしてページごとに割り振って、ストーリー構成を作ります。ストーリー構成を作ったら、内容をチェックしてみましょう。ここでは、脱初心者のためのチェックポイントもお教えします。

 

プロ作家が使うストーリー構成の作り方

 

ストーリー構成は、絵コンテ(ネーム)の前段階です。

 

週刊連載とは違い、新人コミック大賞に応募する場合は、時間がありますから、絵コンテを描く前にきちんとしたストーリー構成をしておきましょう。

 

特に32ページなどの読み切りは詳細な構成なしに絵コンテを切ると、途中でページ数が足りなくなったり、ページ配分のバランスが悪くなったりしがちです。

絵コンテ前の最終的なストーリー構成のやり方は、作家さんによって様々ですが、代表的な手法を3つ紹介します。

 

 

[1]付箋とノートを使う方法

考えた細かなエピソード毎にポストイットなどの付箋に1枚1枚書き出し、ページ数を振ったノートに貼り付けていきます。

 

9510_01

 

実際のまんがを読むようにページ毎に構成が見渡せること、そしてエピソードの入れ替えや再構成が簡単にできること(付箋をはがし、別のページに貼り直す、また新たに付箋を書いて貼り足す…)など、とても効率的なやり方です。

 

コマ割りのイメージもしやすいので、次の絵コンテがとてもスムーズにできます。

 

付箋に簡単な絵やセリフを書き込んで、これで絵コンテにしてしまう作家さんもいるくらいです。

 

 

[2]1枚の紙を使う方法

今でも多くの作家さんが使っている手法です。

 

9510_02

 

下のイラストのように、ページをイメージした枠をB4サイズくらいの1枚の紙にページ数分書き入れて使います。

ページ毎の枠はすごく小さくなるのですが、ここにエピソードを書き込んでいきます。簡単な絵を描き入れることもあれば、セリフや擬音だけを入れる人もいます。

 

1枚で多くのページを見渡せるので、全体のバランスをつかみやすいこと、手軽なこと(最初に作ったひな型を何枚もコピーしておけば使いやすい)で人気があります。

 

ただ、エピソードの入れ替えや再構成する場合は少々面倒ですね。

 

 

[3]文章で書く方法

ちょっと特殊なのですが、頭の中でまとめた構成を文章で書き出す手法です。

ページの区切り毎にナンバーを振って書いていきます。

 

9510_03

 

ワープロを使えば、エピソードの入れ替えや再構成も容易です。

 

コマ割りなどのイメージはしにくいでしょうが、なれればこれも手軽なやり方です。

これを絵コンテがわりにして、次の下書きに進んでしまう作家さんもいます。

 

自分に合ったやり方をしよう

 

ここでは3つのやり方を紹介しましたが、あなたの気に入った方法はありましたか?

必ずこの方法でやらなければならないということはありません。紹介した以外にもあるかもしれません。

 

要は次の段階の「絵コンテ」が作りやすいやり方であれば、なんでもよいのです。

 

絵コンテは最終的なまんが設計図になります。おおまかなコマ割り、セリフ、構図などが入りますが、ストーリーの構成はその前に終わっていなければなりません。

そのための一番やりやすい手法をみつけてください。

 

9510_04

 

最後にストーリー構成を確認しよう

ストーリーを作るときの注意点をご紹介します。新人コミック大賞の応募原稿を拝見していて、よくある事例から、ビギナーの皆さんが陥りがちなポイントについてです。あなたが考えたストーリーは、こんな罠にはまっていませんか?

 

 

 今の画力では描ききれないテーマ・ストーリーになってはいないか?

応募原稿の中でも多い例です。

 

メカ総出演のSFやファンタジーなどをまんがで描く場合、それを説得力あるまんがにするためには作画力が不可欠です。

 

そもそもSF・ファンタジー系はプロでも作画で苦労する題材です。

 

また動物・自然などをテーマにした作品もかなりの画力が要求されます。

 

最初は、自分の画力に見合ったテーマ・ストーリーを選んだほうがいいと思います。

 

 

ひとりよがり、ご都合主義の展開になってはいないか?

なぜそうなるのか、どうしてそうなるのか?

 

登場人物の言動やストーリーの展開には、きちんとした裏付けが必要です。

 

ただ面白いから、読者が驚くだろうから、では納得できないまんがになってしまいます。

たとえば、主人公が闘いに敗れ、その後さらに強くなって復活するような展開の場合、なぜ主人公はよみがえったのか? なぜさらに強くなったのか? をきちんと紹介しないといけません。

 

 

登場するキャラクターが多すぎないか?

これもご都合主義の延長線にあります。

最初は主人公・ヒロイン・サブキャラ数人で始めたのに、途中、主人公とからむ師匠が欲しくなった、主人公を助ける謎の男が欲しくなった…などで、どんどんキャラが増えていってしまうことです。

 

突然現れて、都合のいいことをして、去っていく、そんなキャラはいないでしょうか? 

 

限られたページ数の中で、登場人物が増えることはそれだけ他のキャラが薄まってしまうことになります。

最初にキャラを考えるときに、役割や人間関係をきちんと整理してください。

 

 

テーマは明確になっているか?

このまんがは学園恋愛まんがです、このまんがは夏期合宿での友情がみどころです…などなど、

 

これから描こうとしているまんがをあなたはわかりやすく説明できますか?

それが明確なまんがであれば、読者にとっても(また審査員にとっても)わかりやすいまんがです。

 

延々読んだあと「結局これはなんのまんがだったのか…」わからない作品もとても多いのです。

 

 

メリハリはあるか? 1本道になってはいないか?

ストーリーの流れが1本道でフラットな展開ほどつまらないものはありません。

 

読者は次の展開を予想しながら読み進めていきますから、その予想を時には裏切りながら、えっ、と思わせる仕掛けも必要です。

 

キャラの置かれた状況や気持ちにメリハリをつけて、飽きさせないように。

 

自分が1読者になった気持ちで全体をながめてください。

 

いかがですか? あなたの考えているストーリーは大丈夫でしたか?

もちろんこれらの注意点を守っているから、面白いまんがになるわけではありません。

これらは最低限の決まりのようなものです。そこから先、受賞に値するまんがにするためには、+アルファの面白さ、新鮮さや個性がなくてはならないのです。

 

※サンプルまんが作成 (C)十神 真

※本記事は小学館新人コミック賞公式ホームページ内の連載講座『新コミまんが家養成講座』から提供いただいた記事に一部編集を加えたものです。

 

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