【創作資料】シャツとブラウスの描き方・影の入れ方

イラストやマンガで使える、シャツ・ブラウスの描き方

イラストやマンガのキャラクターを描くときに欠かすことのできない「服」。その中でも、基本の服といえば、シャツとブラウスです。こまごまとしたパーツが多いこの基本のシャツとブラウスについて、服の構造から描く手順や影の落ち方まで……作例付きで詳しく解説します!

 

シャツの構造

 

ワイシャツ

明治時代以降から浸透したトップス。

「ホワイト(白い)シャツ」という言葉が訛って、「ワイシャツ」と呼ばれるようになった。

主にビジネスシーンなどで着る機会が多く、前立てのボタンを留めるときっちりとした雰囲気が出る。

 

①襟 ②前立て ③前身頃 ④カフス(袖口) ⑤アームホール(袖ぐり) ⑥バストダーツ(サイドダーツ)
⑦後ろ身頃 ⑧バックダーツ

 

 

「シャツ」と「ブラウス」の違い

シャツは主に男性用で、前立てが自分から見て左が上のもの、ブラウスは女性用で右が上のものを指します。

シャツは元々下着として用いられた名残から、着丈の先が弧を描いた形であるのが一般的です。

それに対し、ブラウスは当初より外着での使用を目的としているため、伸縮性がある柔らかい生地を採用することが多く、前立てにフリルを付けたものなどデザイン性も豊かです。

 

 

ワイシャツの描き方(前側)

 

1.ワイシャツとスカートのアタリを描く

トップスをボトムスにインする服の場合はボトムスのアタリも一緒に描く。

シャツの腰周りをスカートの腰周りに合わせよう。

 

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2.体のアタリを参考にワイシャツのラフを描く

女性らしい体つきが出るように、シャツの胸と背中は体のラインに沿った輪郭線を描く。

体の中心線に合わせ前立てとボタンの位置も決めておこう。

 

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3.線画を清書する

2.のラフを清書して線画を描く。

前に突き出ている胸のラインは太い線、奥側になる右腕の袖は線を少し細くするなど、線の太さにメリハリをつけると奥行きが出る。

 

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4.細部を描き込む

肘や脇の下のシワ、前立ての影、

スカートにインしている部分のシャツのシワなど細かい部分に描き込みを増やして立体感を出す。

 

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5.完成

影は胸の下側から脇腹にかけてを中心に、

袖の下側やシワができて凹んでいる箇所にも描いていこう。

 

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後ろ側の作例

背中には肩甲骨との間がくぼんで大きな影ができる。

袖の下側がしっかり見える構図なので、袖の影の面積も広くする。

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フリル付きブラウスの描き方(前側)

 

1.ブラウスとスカートのアタリを描く

はじめに体のアタリを描き、腰の位置を参考にしながらブラウスとスカートのアタリを描いていく。

前立ての左右にはフリルのアタリとして四角をいくつか描き、描く位置をあらかじめ決めておく。

 

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2.胸のラインに沿ってフリルの流れを描く

体の中心線に沿って前立てを描き、前立ての線を軸にして左右にフリルのラフを描く。

フリルは幅が短いものと長いものの2種類を重ねるとボリューム感が出る。

 

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3.フリルのシワを描く

線画を描きながらフリルのシワを描き込んでいく。

「フリルは前立てに縫い付けてある」という意識を持って、前立てを中心に線を描いていこう。

 

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4.フリルの影や脇の下に描き込みを加える

前立てとフリルのすき間や、フリル同士が重なっている箇所などの線を濃くすることで影を強調する。

脇の下やスカートのタック部分も同様に線を濃くする。

 

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5.完成

影は胸の下側や脇の下、スカートにインしている腰周りなどに描く。

フリルの影は生地の裏側やくぼんでいる箇所だけに留めて白い面積を多くすると爽やかで清楚な雰囲気が出る。

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フリルなしブラウス

フリルがない場合は胸元がシンプルになるため、スッキリとしたイメージを与えられる。

胸の下側の影を控えめにすると、白い面積が多くなってより爽やかに見える。

 

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シャツの作例

 

ボタンダウン

小ぶりなボタンで襟先が固定されたシャツ。
ボタンを生地よりも目立つ配色にすることで、さり気なくアクセントをつけたものが多い。

直線的な線で、硬めの質感を出そう。

 

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活発な印象に仕上がるので、女性キャラに着用させボーイッシュさを演出するのも面白い

 

 

ポロシャツ

ボタンが首元の2 ~ 3つのみで、頭から被って着るタイプのシャツ。

伸縮性のある生地が定番で袖口がリブ状になっているものも多く、袖口に少し絞りを入れるとカジュアルかつ上品な雰囲気が増す。

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男女問わずさまざまなキャラに合う。爽やかさやスポーティーな雰囲気を手軽に出せる

 

 

ネルシャツ

フランネル地という軽く起毛した素材を用いたシャツ。

チェック柄が基本で、柄で個性を出しやすい。

テクスチャを貼る際、そのまま全面に貼ると立体感が出ないので、前身頃、袖、襟の部位ごとに角度を変えて貼るようにしよう。

 

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細身でスタイルのいい男性や、スキニージーンズなどを履いた細身の女性キャラに合う

 

 

シースルーシャツ

透け感のある素材で作られた女性用のシャツ。
無地のものだけでなく、レース生地を使い、女性らしいアクセントをつけたものも多い。

インナーや肌とのコントラストで軽やかな印象を作ろう。

 

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爽やかな清楚系からセクシー路線まで、透け加減やデザイン次第でさまざまに表現できる

 

 

クレリックシャツ

襟とカフス(ワイシャツの袖口)のみが白無地で、身頃は色付きや柄ものの生地で仕立てられたシャツ。

清潔感が高く、知的な印象を与えることができる。

 

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スマートかつ華やかな雰囲気が出るため、スーツ姿にアクセントを加えたいときに便利

 

 

アロハシャツ

南国風な柄はもちろん、和服に起源を持つとされるためか、龍や鯉といったモチーフの柄もある。
体に密着しない服なので、胴から裾にかけての輪郭線はまっすぐに近い線で描こう。

 

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陽気なキャラは花柄に、強面な男性は和柄にするなど、キャラのタイプに合わせて柄を変えてみよう

 

 

シャツの首元の形や模様例

 

レギュラーカラー

「カラー」とは襟のこと。

襟足が高くも低くもなく、かつ襟先が75 ~90度程度に開いたものを指す。

 

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ボタンダウン

襟先を小ぶりなボタンで固定している。

カジュアル度が高く、セーターやダウンベストとの相性が良い。

 

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チェック柄

色や太さの違うラインが十字に交差する柄。

タータンやギンガム、アーガイルなど、さまざまな模様が存在する。

 

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アロハ柄

ハワイ発祥の柄。
ハイビスカスなどのトロピカルなものを中心に、多様なモチーフが色彩豊かに描かれる。

 

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※本記事は、『デジタルイラストの「服装」描き方事典 キャラクターを着飾る衣服の秘訣45』(スタジオ・ハードデラックス著/SBクリエイティブ刊)からの特別版抜粋記事です。

 

センスも画力もまるごと向上!
現代の男女の服装を、トップス、ボトムスなど着る部位ごとに整理・分類し、服装ごとの構造や特徴、描き方、バリエーションを描くコツ、コーディネートのヒント、シワのノウハウの解説をまとめた、事典形式のイラスト実用書です。

 

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