イラスト・マンガ描き方ナビ > 意外と知らない話 > 【大公開!】アートディレクターのお仕事内容vol.1「指示書の読込み」~「ラフチェック」

【大公開!】アートディレクターのお仕事内容vol.1「指示書の読込み」~「ラフチェック」

イラスト制作現場のアートディレクターのお仕事

なかなか知ることのない、イラスト制作現場の”アートディレクター”の仕事内容を大公開!! 普段、あまり見ることのない作業内容を3回に渡って詳しくお送りします。今回は第1弾、指示書の読込み〜ラフチェックまで!

※本記事は、イラストの仕事に役立つメディア『GIKUTAS Magazin』(https://gikutas.jp/magazine)から提供いただきました。

 

GIKUTAS』のAD(アートディレクター)に突撃取材をして、なかなか知ることのない”アートディレクター”のお仕事の内容や魅力をお伝えします!

月に500枚以上の修正指示を制作するうえで、『GIKUTAS』自慢の「高いクオリティ」を叶えるためにどのような点に注目して仕事をしているのかをご紹介していきたいと思います!

 

第1回目の今回は「指示書の読込み」~「ラフチェック」までを解説!

 

GIKUTAS』のADと今シリーズのためにイラストをご制作頂いたVioletshitさんが実際に使っているテクニックもご紹介します!

 

そもそもアートディレクターって?

 

聞き馴染みのある方、無い方いらっしゃるかと思いますが、”アートディレクター”という職種の業務内容は、業界や会社によっても異なります。

 

GIKUTAS』のアートディレクターは クライアント様からの仕様書・指示書を元に、イラストレーター様からいただいた作品に対して ラフの段階での「デッサン・パース・構図」への赤入れ修正指示制作・着色工程での「立体感・質感・全体的な仕上がりの精度」に対する加筆や修正指示をおこない、作品のクオリティアップをお手伝いするお仕事です!

 

こちらの記事(「えーでぃー! 第0話 〜おしごと紹介マンガはじめました〜」)で『GIKUTAS』のアートディレクター職の簡単な流れを漫画形式でご紹介しております!

 

今回はより具体的に、イラストレーター様にどのような技術的アドバイスをし、クオリティの高い作品の完成まで導いているのかご紹介します。

 

 

ココが大事!指示書チェックポイントとは?

 

クライアント様からの要望が多い画風のイラストを制作し、各工程のチェックポイントや具体的な修正内容を通して完成までの流れをご紹介します!

 

通常指示書には以下ようなの項目が記載されています。

 

指示書のチェックポイント

  1. キャライメージ
  2. 衣装イメージ
  3. 構図イメージ
  4. 詳細指示

 

これら上から順番に指示書のチェックをおこない、完成型の大枠イメージを持ち、最後に詳細指示をチェックし、完成型をより具体的にイメージする事が重要です!

 

では、実際にイラスト制作に欠かせない指示書から見ていきましょう。

 

 

ごめんなさい……。わかりづらいですよね……。

ただ、イラストレーター様がイラストを制作するうえで、完成型をより具体的にイメージしていただくように様々な画像を使用しているため、こちらでの公開は控えさせてください!

(画像使用時には引用元を記載して利用しております)

 

先ほどの上げた指示書のポイントとなる内容はコチラです。

 

キャライメージ

  • 頼りになる姉御的なキャラ
  • 強い
  • 好戦的な笑顔

 

衣装イメージ

  • 今回のイラストの特徴は和風+鎧+豪華さ

 

構図イメージ

  • 少し見上げアングル
  • 刀を抜いている所

 

装飾品も多く、見上げアングルで好戦的な笑顔!

少し迫ってくるような、豪華で素敵なキャラクターが出来上がりそうなイメージがつきました。

 

この他にも細かい服装や装飾の指示がありますので、アートディレクターは実際に制作をおこなうイラストレーター様以上に指示内容を読み込み、要望の漏れがないかも細かく確認していきます。

 

 

こんなに変わる!赤入れチェックとは?

 

先ほどの指示書を元にイラストレーター様に制作頂いたラフがコチラです。

 

 

かわいい!!

 

こちらでも十分に素敵なキャラクターです!

ですが、このキャラクターは今よりもっと素敵になれる!

 

その為にも断腸の思いで赤入れをさせていただきます。

 

<赤入れポイント>

  1. 全体の印象チェック
  2. 身体(素体)チェック
  3. 装飾チェック

(下記の様なテキストと合わせて、作家様に修正のご依頼をさせて頂く事が多く、必要な場合は参考になる画像も用意します)

 

では早速、コチラの流れに沿って赤入れをしていきます!

 

全体

全体感は、ぱっと見たときに感じる違和感や画面のシルエット感や実機に当てたときにどんな印象になるか、などイラストを俯瞰してみることから始めます。

 

カメラ位置の整合性

今回のキャラクターは上半身(腰から上)は煽り視点で下半身は俯瞰の視点で描かれている印象です。

上半身と下半身でアングルが切り替わっているので、もう少し変化を緩やかにしていただいたほうがより自然なバランスになるはずです。

 

キャラクターデザイン

装飾も盛っていただいているため、豪華な印象で素敵です!

 

ただ、今回はスマートフォンゲームで利用されるキャラクターです。

画面上で表示されるとせっかくの細かい描写が縮小されて装飾が潰れがちになってしまいます!

一番見せたいポイントに目が行くようにメリハリをつけて描写したいところです。

 

また、一番の見せ場となる奥の鞘を持つ手が隠れてしまってもったいない印象があるため、スカートの動きを抑えて手を前に持ってくる。

紐が細く、縮小した際に潰れてしまう懸念があるので、太くしていただく。

 

など、修正指示書に記載します。

 

キャラクターの利用用途に合わせて修正を加え、キャラクターの魅力を最大限引き出そうとする姿勢が大事ですね!

 

 

身体(素体)

次に身体ですが、こちらはチェックするうえでデッサンの基礎知識が必要となります。

弊社アートディレクターには必要不可欠な視点で、各アートディレクターで統一したチェックポイントです!

 

一見整って見えたキャラクターラフですが、弊社アートディレクターから見た修正指示がコチラ。

 

 

なるほど!

確かに身体のバランスが自然に、美しく見えます。

 

修正内容は以下です。

 

足〜下半身の長さ

足が短い印象なのため、少し腰の位置を上に上げ、膝下の方を少し伸ばす事で足が長い綺麗なプロポーションになります。

 

肩〜胸の傾きと位置

肩に対して胸の傾き足りない足りておらず、肩の傾きも強く見えるため、肩の傾きを抑えつつ、胸の角度を合わせる事で傾きと身体のパーツ位置を合わせましょう。

 

手の大きさと指の太さ

身体のパーツに対して手が大きいため、少し小さく。10代の女の子の華奢な手をイメージして指を細くする事で可愛い印象を持たせましょう。

 

全体のバランスだけでなく、手の大きさから指の太さにまでキャラクターイメージを追求する姿勢が良い作品作りには必要ですね!

 

 

装飾

最後に装飾です!

装飾はラフ段階であっても角度や装飾の流れる方向から質感やサイズ感を読み取って指示書のイメージを合わせていく必要があります。

 

装飾の修正指示がこちら。

 

 

豪華!

青く線を引いている部分が装飾の修正点になります。

 

修正内容は以下です。

 

頭部の装飾

頭部の装飾に紐の装飾が見えないので付け足し、装飾の角度を目の向きに合わせましょう。

 

着物の質感と規則性

着物の袖の形が固い印象なので、シルエットで柔らかさを表現しましょう。

 

袖・腰布なども少し先端の形がとがっているため、固い印象を持ってしまいます。

キャラの動きによってなびく空気感を出しましょう。

 

また、フリルのひだ部分の規則性が少しくずれている部分があるので規則的にしましょう。

 

ポーズに合わせた装飾の動き

向かって左の足が少し前に出ているのでそれに合わせてスカートの形も太ももに合わせて少し上に上がっているようにしましょう。

 

腰の鎧の向きとパーツの接合点

腰の鎧が正中線の向きから外れているように見えるため、半時計回りに調整しましょう。

腰から流れている布がどこに付いているのか分かりづらいのパーツ毎のつながりを意識して加筆しましょう。

 

以上です!

 

全体・身体・装飾とそれぞれ細かい指示を出しておりますが、ラフ段階で細かい点を確認しておけば、線画や着色時に大きな修正が発生しイラストレーター様に辛い思いをさせずに済みます!

 

それぞれの指示が、一貫してキャラクターをより魅力的にするために必要な項目という事がお分かり頂けましたでしょうか?

 

その他にも抑えておきたいポイント!

 

最後に、今回のラフでは特に触れませんでしたが、他にもラフチェックに抑えておきたいポイントもあるのでお伝えしておきたいと思います!

 

画面密度

  • 装飾が多いので細かくなりすぎないように注意
  • 空間の広がりや画面の余白、抜け感に注意しないと全体的に画面内が窮屈な印象になってしまうのでその部分の精査

 

▲修正前

 

 

▲修正指示

 

画面の余白や密度をチェックする事でキャラのシルエットに動きがあるか、画面全体を覆いすぎていないかのチェックができます。

重たくなりやすい髪の中心が部分的に大きくぬけている印象です。

 

もう少し他の髪の流れにあわせて少しボリュームを足す事で、より華やかさを演出できます。

 

立ちポーズの魅せ方

  • ただの棒立ちになっていないか
  • 重心を片側に寄せるなどの工夫が出来ているか(腰を捻るなど)

 

 

左の画像の様に肩と腰、足の設置面の高さが並行だと動きがかたくなるのでコントラポストに気をつけて頂くと動きのあるイラストになると思います。

 

重心を片方にかける等して高さをずらし、肩と腰の傾きが右の画像のように相反すると正中線に「S字」のようなラインになり身体に動きがでますのでオススメです。

 

装飾が多い時ほど身体に注意

  • 今回は特に装飾が多いので身体が合っていないと修正量が多くなってしまう事がある
  • 今回のイラストだと胸、向かって右の手など見せ場になっている部分が少し隠れ過ぎている印象なので、もう少し見せてもいいかも知れないです。

 

 

【まとめ】

 

いかがでしたか?

 

一見初稿ラフとは思えない完成度に見えますが、細かい部分やアドバイスを見てみると「たしかに~!!」と納得してしまうものばかり。

こういった初期段階の細かい部分を見抜いて的確にアドバイスすることで、高クオリティに近づくだけでなく、イラストレーター様の基礎力にも貢献できるのです。

 

次回は、今回の修正指示をもとに制作いただいた本ラフをもとに「「本ラフ」~「線画チェック」」をご紹介します!

 

 

 

株式会社サーチフィールドが運営する、クリエイターと企業をつなぐ制作受託サービス『GIKUTAS』は常時イラストをお受けいただける作家様を募集しております。

フリーランス・副業・学生さん・主婦の方、イラストをお仕事にされたい方はぜひこちらをご覧ください


 

クリエイターと企業をつなぐ制作受託サービス『GIKUTAS』は、クリエイターの幅広い働き方のニーズに寄り添って、転職支援・派遣サービスの『GIKUTAS Agent』も運営しております。イラスト制作の現場を理解しているディレクターが、コンサルト担当として貴方のキャリアプランをお伺いさせていただきます。



CRIP STUDIO PAINT EX

このカテゴリの今日の人気記事

おすすめ記事

CRIP STUDIO PAINT PRO
CRIP STUDIO PAINT PRO
初心者のためのマンガ制作講座

必要な道具、制作の流れなど、デジタルで漫画を描くのがはじめての人向けの基本的な情報をお届けします。

マンガ上達講座

漫画制作のクオリティやスピードをさらに上げる、上達のためのさまざまなテクニックをご紹介します。

プロ漫画家のお仕事

現場で活躍されているテクニックや漫画家さんの素顔に迫る記事など、プロの仕事に関する情報をお届けします。

便利情報

ジャンルにとらわれない、作品制作に役立つさまざまな情報などをご紹介します。