【キャラの描き分け】銀河英雄伝説のキャラクターデザインに迫る!

銀河英雄伝説に学ぶキャラデザの極意!

作品の魅力を誰よりも知り尽くしている編集者が、連載作品の「ここがすごい!」を解き明かす! 今回は壮大なSF群像劇『銀河英雄伝説』を描く藤崎先生のキャラクターデザインメソッドを解説します!ヤンジャン新人漫画賞「シンマン賞」大人気企画を特別掲載!

 

「キャラクターの描き分けができない…」と頭を抱える新人作家の皆さんに向け、藤崎竜先生が描く、銀河英雄伝説の「キャラクターデザイン」の技術に迫ります。

 

1.人物の区別

 

登場人物の大多数が軍人・貴族を占める『銀河英雄伝説』では装いや纏う雰囲気が近しいからこそ、一人ひとりのキャラの「区別」が非常に重要な意味合いを持つ。

 

キャラ一覧を見てみると、帝国軍、自由同盟軍ともに、一人として似た容貌のキャラはおらず、一目で人物の区別がつくよう詳細な「描き分け」が成されていることが分かる。

 

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2.シルエットで伝わるキャラのイメージ

 

『銀英伝』の「人物の区別」はシルエット越しでも明らかだ。

 

以下の陰影からでも「そのキャラが誰で、どの立場で、どんな雰囲気を持つ人物なのか」というイメージがはっきりと読み手に伝わってくることが分かる。

 

ここでは主要人物ラインハルトとヤンのキャラの差別化のポイントに迫る。

 

▼ラインハルト

 

考え事をする際の「顎を触る」仕草はラインハルトを象徴している。

 

▼ヤン・ウェンリー

 

ヤンの「ボリボリと頭を掻く」行為は初登場時から行われている。

 

担当編集のココがスゴイ!!

キャラの輪郭やデザインは勿論のこと、些細なポージングや佇まいも、人物を特定するうえで重要なポイントとなっているのだ。

 

 

3.サイドキャラクターの描き分け

 

シルエットでも伝わる「銀英伝」の人物の区別は、主要キャラだけでなく「サイドキャラ」にも徹底されている。

 

新人作家が原稿で手を抜きがちなこの箇所を、プロ作家はどのように手掛けているのか。

ここでは藤崎先生の「帝国軍首脳陣」の描き分けにスポットを当てる。

 

帝国軍首脳陣の描き分け

 

▼エーレンベルク元帥

 

「チェーン付きの片眼鏡」が知的な雰囲気を醸し出している。

 

▼ミュッケンベルガー元帥

 

「ボリュームのあるもみあげと角度のある眉山」が厳格な印象を与える。

 

▼シュタインホフ元帥

 

「外跳ねした髪を濃く伸びた髭」は読み手にインパクトを与える。

 

担当編集のココがスゴイ!!

膨大な登場人物を描き分ける最大のポイントは、髭や髪型、小物といった、キャラの「詳細な特徴」にある。

藤崎先生は、物語を支えるサイドキャラ一人一人にもトレードマークを設けることで、「貴族っぽいおじさん」を「帝国軍を支える <個人>」として描き上げているのだ。

 

 

総括

 

漫画に限らず、映画、アニメ、ゲームあらゆるメディアのキャラ造形に日頃から目を向け、自分の引き出しの中に「描き分けのストック」を溜めておこう!!!

 

 

〈作者紹介〉

藤崎竜

青森県出身。1992年、週刊少年ジャンプにて「PSYCHO+」で初連載。その後1996年に連載開始した「封神演義」がアニメ化され、多方面から支持を得る。また『屍鬼』、『かくりよものがたり』など多くの作品で人気を博し、2015年YJ45号から「銀河英雄伝説」が新たに連載開始。奇抜なキャラデザ、幻想的な世界観など独特な作風に根強いファンも多い。

 

※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』「銀河英雄伝説」の第1週 キャラクターデザインを特別掲載しました。

 

第2週~第3週でも引き続き担当編集者が「銀河英雄伝説のここがすごい!!」を解説します。気になる続きはhttp://youngjump.jp/shinman/)をチェック!

 

銀河英雄伝説のここがすごい!!

シンマン賞特別企画 『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』

(第43回 審査員:藤崎竜)

(C)田中芳樹・藤崎竜/集英社

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