服の素材や構造を意識!服のしわの描き方

服の素材や構造を意識!服のしわの描き方

服のしわは、服の素材やデザインに応じて形状が変わります。さらに、体の動きや外部環境などの要素を加えていくことで、リアルなしわを描くことができます。服のしわを描くためのコツを、イラストレーターのmiyuliさんが解説します。

 

しわは、布の形状によって変化するので、完全に決まった形というものはありません。
たくさんのパターンがあり、それぞれに形を作る要因があります。

 

リアルに描くためには、できるだけ多くのしわ・折り目の研究をすることです。
いくつかの一般的な原則を理解し、パターン化された手法を使うことで、説得力のある絵を描くことができるようになります。

 

 

布の素材

 

しわを描くとき、布の素材を考えるのはとても重要です。

 

素材が決まっていると布の特性が分かるので、適切な折り目をどこに置くか決められますし、どのように影が広がるか想像ができます。

 

 

 

厚い素材には、通常は目立たない幅の広いしわがあります。

硬い材料は通常、曲げた範囲または縫い目で引っ張られます。

柔らかくて薄い素材は、折り曲げた範囲の周りで最も多くのしわができます。

 

 

しわの量は、生地の重さや素材の種類によって変化します。

 

布を描くときは、素材の[厚い/薄い][硬い/柔らかい][重い/軽い][滑らか/質感のあるもの]を最初に考えることをおすすめします。

 

 

厚手の生地は、色んな幅と体積のしわができます。

また、動いていてもほとんど布が動かず、しわが少なくなります。

 

すべての衣服に独自のパーツ配置があるので、縫い目の位置などがしわの形に大きく影響します。

 

 

縫い目の一般的な配置に慣れておくとよいでしょう。

すべてを描く必要はありませんが、服の構造に関する基礎を十分に理解している方が役に立ちます。

 

しわは縫い目に引っ張られる傾向があり、特にスーツのような衣類では肩の縫い目によるしわの形が顕著になります。

 

セーターは通常、腕の縫い目が低い位置にあるので、引っ張りによるしわはあまり目立ちません。

 

 

幅の広い服は、幅の狭い服とは違ったしわを作ります。

 

ぴったりした服は、体の形に沿ったしわができ、ゆったりした服は引っ張られるポイントから地面に向かって垂れ下がるしわが多くみられます。

 

 

衣服は、多くの場合、しわの形を考慮して設計されています。

 

体にフィットする服は、なるべくしわが無く、美しく見えるように作られています。

きつすぎたり、緩すぎたりすると、見た目が悪くなるしわがたくさん出来てしまい、シルエットがきれいに見えません。

 

使い古された生地は、新しくて手入れされている布よりもしわになる傾向があります。

 

メモ:衣服やしわを描くときは、まずキャラクターの性格に合った素材を検討するとよいでしょう。

 

 

 

外部環境による影響

 

服を着ているキャラクターがいる環境によっても、しわの形が変わります。

 

たとえば、水で服が濡れる場合や、風で服が揺れる場合などです。

 

濡れた布は、乾いた布とは異なる働きをします。中の素材や肌にくっつく傾向があります。

水は軽い物質を非常に重くするので、もう簡単には動きません。薄い生地は透けて見えるようになります。

 

 

 

動き

 

体が休んでいるとき、布は重力によって引き下げられます。

生地の幅が広く軽くなるほど、垂れ下がったしわがより顕著に現れます。

 

 

曲げると生地が一緒に押され、サイズの異なるくぼみがいくつか出来ます。

薄い布の場合、より多くのこぶができ、厚みのある布では、折り目が少なく布がつぶれる傾向があります。

 

 

布は体の動きに連動します。通常、ひねりに沿ってしわができます。

動きを強調した表現をするのに非常に役に立ちます。

 

次の図のように、薄くて軽い素材では、腕がほとんど動いていない場合、しわがあまり出来ていないことが分かると思います。

 

 

しわは腕の動きによって大きく形を変えます。

ジャケットを開くと、腕を上げたときに、布が引っ張られる力の一部が弱くなります。

 

 

 

ズボンのしわ

 

ズボンの生地はウエストラインで支えられています。

 

ズボンは、脚の骨構造に合わせて作られているため、広いウエストから膝に向かって狭くなり、細いズボンでは膝にしわが現れます。

 

隆起した生地を描く場合、その起点と体積が分かるようにするとよいでしょう。

3Dで折り目を想像できる場合、あるのと無いのとでは視覚的な違いが生まれます。

 

 

背中から、お尻の下に出来たしわが腰に向かっているのが分かります。

 

膝のしわも、後ろから見ると、腰に引っ張られています。一般に、体が立って休んでいるとき、ダイナミックな動きのしわはあまりできません。

 

 

脚を持ち上げると、膝が最も強く引っ張られるポイントになります。

脚が動くときの、ズボンの脚の形に注意してください。

 

 

 

影とハイライト

 

素材の厚さによって、しわの周りの影は多少異なります。

 

しわの影を入れるときは、柔らかいエッジと硬いエッジの組み合わせを使用するとよいでしょう。

 

塗るときは、素材の滑らかさと柔らかさに注目してください。滑らかなほど、光をより反射し、ハイライトが明るくなります。より粗く、より質感のある素材は光がぼんやりします。

 

最も暗くなる箇所は通常、布が一緒に押しつぶされ、オクルージョン・シャドウ(光が遮られることで生じる影)ができる場所です。

これは、光が届かない非常に深いしわにも当てはまります。

 

 

影を塗っている時に気づいた簡単なヒントをいくつか紹介します。

 

 

折り目の幅などの陰影は、素材によって柔らかいエッジまたはハイライトが異なるため、より高い完成度を求める場合には、できるだけ多くの素材に触れて研究することをおすすめします。

 

 

プロフィール:Miyuli

フリーランスのイラストレーター/漫画家です。

https://www.patreon.com/miyuli
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