キャラクターの描き分け STEP.5 体型のバリエーション【ペンタブ練習】

キャラクターの描き分け、体型のバリエーション

デジタルでのお絵描きやペンタブに慣れていない初心者の練習にピッタリ! マンガのキャラクターの描き分けができるようになるためのポイントを丁寧に紹介します。第5回は、ふくよか、ぽっちゃりした体型の描き方です。講座を見ながら手持ちのお絵描きソフト・アプリを使って練習してみましょう! (講師:平井太朗)

 

 

はじめに

 

年代別のキャラクターが描けるようになったら、体型のバリエーションも考えてましょう。ちょっと見回せば友人知人で「同じ体型の人」同士って少ないですよね。

 

今回は特にふくよかな人の体型を考えてみましょう。体型の違うキャラクターは見た目ですぐに見分けることができますし、実は性格付けでもちょっと利用しやすいんですよ。

 

やせているキャラクターは「繊細」なイメージを、太っているキャラクターは「おおらか」なイメージを抱きやすいと一般的には言われています。

 

例えば主人公を「繊細」なキャラにした場合は、やっぱり「おおらか」なイメージのキャラクターも出しておかないとバランスがとりづらくなることも。

もしくは「活発っで向こう意気が強い」キャラが主人公なら…やっぱり時にそれをさとしてくれる「おおらか」なキャラクターがいるとお話が動きやすくなると思いませんか?

 

もちろん「おおらか」な人が必ず太っていなければならないわけではないですけれどね。

例えば、短編の作品を描くときはキャラクターの説明にそれほどページを割くことができません。方法論として、主人公以外の主要なキャラクターは「見た目」でどんなキャラクターかをイメージさせることもとても大切になのです。

 

顔の変化

頭部の変化を見てみましょう。重要なポイントは「目鼻口」の位置は変化しないということ。もし難しいと思ったら、普段描いているキャラクターをラフで描き、目鼻口以外をいったん消してから、もっと大きな輪郭を描くという順番で挑戦してみましょう。参考の手順は下絵に描かれています。絵を描くときは下描きを非表示にして構いません。

普通の人の体型です。

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太ったとしても、目鼻口の位置は変わりません。骨格は変化しないからです。でもほっぺやアゴのあたりにお肉がつくので輪郭は大きくなります。

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比較的頭皮にはお肉はつきにくいので、頭部の下半分中心にお肉を付けていくようなイメージで描いてみましょう。

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上半身の変化

 

体型の違いをイメージすることに集中しましょう。
作例は裸で描いていますが全体的なシルエットがイメージできればOK。マンガにはほとんど服を着た状態でキャラクターが登場しますしね。
お絵かきツールには下絵を参考にして服を着た状態の「太った人」を描いてみましょう。

 

普通の人の体型です。肩の部分などちょっと骨張ったイメージの部分もあります。

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少しだけふくよかに。全体的に丸くなりますが、特に胸やお腹にお肉はつきやすくなります。骨張ったイメージがなくなります。

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もっとふくよかにしてみました。肩の骨格が拡がるわけではないので、お肉の影響で腕がちょっと外に回り込みます。

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太っているキャラクターと普通体型のキャラクターを重ねてみました。

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体型が▼(逆三角)から▲にイメージが変化しています。頭部より、身体の方が変化は大きいようですね。

 

 

立ち姿

 

顔や身体の描き方だけでなく、立ち姿(ポーズ)だけでも体型のイメージを表現できます。その仕組みを紹介しておきましょう。
今回紹介するのはあくまでイメージしやすいポイントだけです。人の集まる場所にでかけて、いろんな体型の人がどう歩いているか、立っているか、実際に観察に出かけることもしておきたいですね!

 

授業の内容を参考に、服を着た太ったキャラを描いてみましょう。下絵が邪魔なら表示を消して自由に描いて構いません。

 

横から見ると、お肉はお腹に一番ついていくようですね。お肉が前につくので、バランスを取るために背骨が反ってきます。太ると腰に負担がかかるというのはこの仕組みなんです。

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服を着たときのイメージとしては、アゴをひいて身体を反らせて立たせるようなイメージです。服を着せるときは、お腹を前に突き出すように描くとそれらしくなりますよ。

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体重が重くなると、重量挙げをしているのと同じで、足をしっかり踏ん張る必要があるので、立ち方そのものにも変化が現れます。足を平行に開き気味にしていると「どっこいしょ」というイメージが表現できますよ。

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平井太朗先生のコラム 身体が大きいと「カワイクなる!?」

 

身体の大きな人には「コワイ、イカツイ、力強い」などのイメージがありますよね。でも「ぱっと見、怖そうだと思う様な身体の大きな人」が、案外優しかったりするときに「イカツイ」と逆のイメージを抱くことがありませんか?

 

人間の手足サイズは、身長に比例すると言われてます。身長2mにもなるスポーツマンなんかは、足も特大サイズで、往年のプロレスラー「ジャイアント馬場(身長209cm)」さんは「16文(32cm)キック」が得意技のひとつだったりしていました。とっても大きな足だったんですね。

 

ところが、身長は平均に近い状態でふくよかな体型になっている場合、手足の大きさは同じ身長の人と較べても特段大きくなったりはしません。その結果、身体の大きさにくらべて手足が小さいように見えます。

 

顔も、目鼻口の位置関係は痩せていても太っていても、あまり変化はありません。ちょっとふくよかな顔だったりすると、ほっぺやアゴの部分にお肉がついて丸い顔になったりしますが、それにつれて目や口の位置が離れていくわけではない、ということです。

 

そうやってふくよかな人を描いていると、あることに気付きます。

 

ふくよかな人を描くための特徴は…赤ちゃんを描く時のそれと似ているということ。実際の大きさは全然違うんですが、「手足が小さい(ように見える)」や「目鼻口が寄っている(ように見える)」などの特徴は赤ちゃんのものと似ているため、そこに「かわいらしさ」を感じてしまうのです。

 

屈強なハズのプロレスラーが子供に優しく接していたりすると、ギャップ効果も相まって魅力を高めることができたりするのです。ひと言で「身体の大きなキャラクター」と言っても、いろいろな魅力も持たせることができそうですよね!
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(講師:平井太朗)

 

※この講座は、「ワコムクラブアカデミー」初級講座に掲載されていた内容を描きナビ編集部で一部抜粋・編集して掲載しています。

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