キャラクターに命を吹き込むポーズの描き方

キャラクターが行動することで生まれる「力」「リズム」、動きをとらえるための「アクションライン」を意識してポーズを描くことで、キャラクターに命が吹き込まれます。生き生きとした人物のポーズを描くためのコツを、アーティストErideyさんが解説します。

 

人体を理解する

 

ポーズを正しく描画するために、解剖学の本を常に携帯する必要はありません。想像しているよりも簡単です!

一番良い学び方は、観察と実践です。そのうえで、もっと上達したいと思ったら(そう思ってほしい)、その時に、解剖学の本を見るといいでしょう。

 

描く絵のスタイルがマンガのように写実的なものからかけ離れていても、生き生きとしたリアリティのあるポーズにするために必要な要素は同じです。

 

4つの要素「①力(ちから)とリズム、②アクションライン(動線)、③人体の構造、④パース」を意識しましょう。

 

 

 

人体を観察する

 

最も身近になる参考資料は自分自身です。鏡の前で自分の動きを見ると、身体が一つの集合体として機能していることに気付くでしょう。

人間の身体は、取り外しがきく人形の四肢と違って、腕だけを動かそうとしてもほかの部分が動いてしまいます。

 

実際の動きは、図Aと違いますよね?

試しに左腕を上にあげてみると、肩が持ち上げられ、身体の他の多くの部分が図Bのように連動します。

 

これが観察の意味、つまり身体の特徴や特性に注意を払うということです。

 

①力(ちから)とリズム

 

キャラクターは、その内なる力のおかげで動きます。彼らは自分が望むように歩いたり、ジャンプしたり、踊ったりします!

ただし、キャラクターたちが宇宙に浮いている場合を除き、彼らには重力などといったほかの力が作用し足が地面についた状態になります。

 

 

2つ以上の力が相互作用すると、リズムが生まれ、動きのバランスと感覚が得られます。

 

 

キャラクターが左に押されると、そのキャラクターの体はその方向に倒れます(A)が、抵抗している状態だと立ったままになります(B)。

 

 

キャラクターが動くことを拒否する何か(下図では猫)を引っ張りたい場合、キャラクターの体は反対方向に傾くでしょう。

当たり前のことですが、猫が力を入れるのをやめると、猫に支えられていたキャラクターは倒れます。

 

 

強さとリズムは、キャラクターの体重(1)、キャラクターのポーズのバランス(2)またはそれの欠如(3)といった多くの視覚情報を見る人に与えます。

 

 

②アクションライン(動線)

 

アクションラインは、キャラクターの動きを表すガイド線です。

この線は動きに焦点を合わせ、全体像を統一するのに役立ちます。

 

 

以下に、強さ、リズム、およびアクションラインが相互作用する3つの例を紹介します。

 

例1:

(1)はリラックスした姿勢で、右腕に体重をかけて休んでいます。

(2)では、彼女のアクションラインを見ることができます。

 

この線は、頭から足まで体全体を覆っています。形状はSに少し似ています。

 

 

彼女の体重は一点にかかっているためリラックスしたポーズであることがわかります(3)。

右足はリラックスしているので、彼女が必要とすることはピンと張った左足でバランスを保つことだけです。

 

 

例2:

次のポーズは例1よりも動きが激しいため、この画像ではさらに多くのことが起きています。

 

 

今回は3つのアクションラインが存在しますが、最も重要なのは、実際にストーリーを語る(1)と(2)です。

1本目は頭からつま先まで全体をカバーし、2本目は反対方向に伸び、バランスを保ちながらXのような形を形成します。

3本目(3)は単にポーズの安定性を高めます。

 

 

この図では、キャラクターの視線と反対方向に押す力が働いていることがわかります。

床にある髪、衣服、ほこりなどの要素は、力が右側から来ることを示唆しています。

これらの要素は軽いため、作用している力の速度の影響を受けます。

 

しかし、この少女は自分の力だけで耐えようとしています。

彼女は戦いに負けるつもりはありません。

 

 

例3:

今回の私たちのキャラクターは野球選手です。彼は十分な運動量を得るために体を回転させ、ボールの力に抵抗することで遠くにボールを打ち返そうとしています。

 

シーンの終わり方をまだ見ていなくても、ホームランになりそうな印象を受けませんか?それは期待という名の魔法です。

もし、力、リズム、およびアクションラインを正しく処理する方法を知っていれば、望んだ道に沿って読者を誘導することができます。

これは漫画家にとってとても重要なことです。

 

 

ただし、絵のアクションラインを増やしすぎると、キャラクターの目的が分からなくなったり、力が色々な方向に分散したり、一番大事な行動に焦点を当てられなくなる可能性があるので気を付けましょう。

 

③人体の構造

 

人体の構造は非常に複雑で2Dの平面とはかけ離れているため、正しいプロポーションを描くことは難しいです。

まずは、各パーツのボリュームを見分けるのに役立つ土台を形作ることをおすすめします。

 

ここでは球体や立方体、円柱といった幾何学的図形を使って身体の構造を表します。

 

 

これらの図形は、ポーズに応じて自由に回転、伸縮、屈曲、およびねじれます。

 

 

以下の図は、身体のさまざまなパーツの方向を表しています。

 

特に関節の限界には注意しましょう。

ある点まで動かすと、その方向に動き続けるためには、身体を回転またはねじって、ポーズを大幅に変更する必要があるためです。

 

 

 

練習すれば、この工程は簡単にできるようになります。

各パーツがどのように機能するかをよく理解すればするほど、必要なガイド線は少なくなります。

 

④パース

 

パースは、2D平面を3D平面に変えます。

これにより、平面を正面から見たときより、奥行きと視覚的な豊かさを絵の構成に追加できます。

 

目の高さまたは水平線は、キャラクターの目の実際の高さを表し(1)、消失点は、水平線上の点から投影された線です(2)。

次の画像は、パースの効いた2つの消失点をもった物体が描かれていて、物体の2つの面が見えるようになっています。

 

 

人間の身体はより複雑ですが、原理は同じです。

たとえば、このキャラクターの手足は遠近法のために小さくなっていますが、どのような消失点の線を描けばいいかが想像できます。

 

 

パースが誇張されているとき、動きのあるポーズはより劇的に見えます。

ポーズがあまり現実的ではない場合でも、キャラクターの存在感が増すため、シーンがより面白く見えるようになります。

 

 

パースは1日で習得できるものではないので、できる限り練習をしたり、パースについて勉強することをおすすめします。

そうそうすれば、最終的には視界のそこら中に消失点が現れるようになります!

 

形を組み立てる線を描く

 

写真や実際の人々を参考資料として使用してポーズを描画し、決められた短時間で描き切ることによって、観察のスキルを高速化および向上させることができます。

 

この目的は、人物の重要な情報を把握し、できるだけ多くのポーズを描くことです。

この練習は、絵を描く自信を付けることにも役立ちます。

 

最初の線を描くことをためらわないでください。

引く線を間違えても、線を消しゴムで消すことは避けてください。

できるだけきれいで明確な線を描いてください。

 

以下に、45〜60秒以内に描いたポーズの例を示します。

 

 

最初は、滑らかな線で全身を描くことに集中します。

その後、時間が余った場合は、形状をより詳細に描いていきます。

 

 

隠れて見えない部分まで描くと人体の構造が理解しやすくなるため、見えない部分を描くことを恐れないでください。

 

 

また、線の勢いを誇張してみてください。どんなに突拍子なく見えても、それによって、柔らかく、より信頼できる線になります。

 

 

モデルが非常にぎこちない姿勢でない限り、直線を描くことは避けてください。

最も自然なポーズは曲線で構築されています。

 

これらのヒントがお役に立てば幸いです!

 

もし私の作品をもっと見たい場合は、これらのリンクからソーシャルメディアページとポートフォリオにアクセスできます。

 

https://www.instagram.com/eri_duh/

https://twitter.com/eri_duh

https://www.artstation.com/eridey

 

この記事を読んでいただきありがとうございます!

 

Eridey

 

  • twitter
  • LINE
  • Pinterest
  • Facebook
  • URL Copy
  • twitter
  • LINE
  • Pinterest
  • Facebook
  • URL Copy