【模写で上達】絵の形をとらえる方法&実践トレーニング

模写でイラスト・マンガが上達する方法

絵を上達させるための練習方法としてよく挙げられるのが「模写」です。好きなイラストやマンガの模写をすると、それまで見過ごしていた細部に気がついたり、プロの描き手の作品に対する意図が見えたりしてとても勉強になります。 今回は、基本的な画力UPに向けた模写が上達するためのコツとおすすめの模写(のやり方)について解説します。

 

そっくりに描くために形をとらえる

 

好きなイラストやマンガのカットを模写して、描き終わってからオリジナルと見比べてみると全然似ていない。イラストの各部分の形は似ているのに、全体で見るとどこか違って見える……。

それは絵のどこかが歪んでいたりバランスが崩れていたりしているのでしょう。

 

模写でそっくりに描くために、次のポイントに注意して描いてみましょう。

 

 

【ポイント1】画面分割の補助線を引いて、位置や比率をとらえる!

イラストや漫画のカットなど模写する時に、皆さんは絵のどの部分を見て、何から描き始めていますか? 目からでしょうか? それとも輪郭でしょうか?
なんとなく見て描いていくと微妙な形の違いや位置のズレが出てきます。各部の少しずつの違いが、全体で見たときの大きな違いとなってしまいます。

 

模写したい絵に、縦3分割、横3分割した線を引いてみましょう。

 

 

キャンバスにも同じように線を引いて、キャラクター全体の位置や比率を決めましょう。

イラストレーターがどのようにキャラクターを配置しているかなど、気がつくこともあるでしょう。これは構図の勉強にもなるのです!

 

 

【ポイント2】各部をシルエットで捉えて描く!

全体の位置と大まかな形が決まったら、キャラクターや背景物など各部の形を観察しましょう。ここでは、まだ目鼻や口といった細部は描き込みません。りんかくの形をよく観察しながら描きます。

 

図のようにシルエットの周りに色をつけてみると、しっかり模写できていないところがはっきりわかります!

 

 

 

【ポイント3】絵を図形として認識する!

描かれている「目」「りんかく」「髪」「手」……といった意味をいったん忘れ、ただの図形だと考えてみてください。
イラストの各部を、単純な図形としてとらえるのです。

 

主線にばかり目が行きがちですが、線と線によって生まれる面にも着目しましょう。
例えば、目の白目の部分の形を見てみると形の違いに気付きます。

漠然と自分のイメージする「目」を描いてしまうとうまく模写できません。線と線によって生まれる面を認識して、各部を図形として捉え、よく観察して描きましょう。

 

キャラクターの周囲も図形としてとらえてみます。

模写は、「逆さにして描くと上手く描ける」ことがあります。逆さにすることで、ものの「印象」ではなく、「形」をよく見て描くことができるようになるからです。
曖昧な印象や記憶で描くのではなく、明確な形として認識しながら描くことを心がければ、模写は必ず上達します!

 

おすすめの模写トレーニング

 

「マンガを1話丸ごと模写」

マンガを模写する時は、どうしてこのポーズ、表情になっているのか、場面の状況がどのようなものか、意識しながら描いていきましょう。

 

キャラクターや背景、効果線など、マンガの絵としての練習はもちろんですが、コマ割りにも注目してみましょう。

コマ割りには演出の工夫が隠されています。

 

マンガは基本的に、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」というストーリーを絵で表現しています。

たとえば、場面が変わる時はロングショットと呼ばれる風景が入ったコマから始めて「どこで」を示すことがあります。

 

キャラクターの感情表現はどんなコマで表現しているでしょうか? 感情によって変化した表情をしっかり見せたいときは顔がアップになったコマになっているのではないでしょうか。

 

コマの大きさ、順番など、コマの中に何が描かれているかを注意して、どんな演出を作者が行っているのか考えてみるとよいでしょう。

また、コマのキャラクターのトリミングや吹き出しの位置など、コマの中の空間の使い方も意識するようにします。

 

 

「アニメーションを一時停止した画像を模写する」

アニメのキャラクターが動いているところで一時停止し模写することで、動きの瞬間を描くトレーニングになります。

 

プロは「動くキャラクター」を描くときには、体の部分ごとに動かして描くのではなく、頭から足先まで、全身の骨格の流れを意識して描いています。

これは、人間の骨格や筋肉が連動して動いているためで、そうしないとゾンビのようにぎこちない動きになってしまうからです。

 

たとえば首や胴体がまっすぐで、手足だけが大きくバラバラに動いていても「動くキャラクター」にはなりません。大きな動きなら、全身の骨格が生み出す曲線も大きくなります。

 

 

「苦手なところを集中的に練習する」

模写はいきなり上手く描けるわけではありません。一度で諦めず、同じ絵を繰り返し描くことで上達していきます。
模写をする時は、ついつい好きな絵柄で、好きな部分ばかり描いてしまい、苦手なところは描かなかったり、ごまかして描いたりしてしまいがちです。
しかし、苦手な部分こそたくさん描いて練習するべきです。イラスト全部を描かなくてもよいので、苦手なところだけを集中的に模写してもよいでしょう。

 

表情が苦手ならさまざまな表情を描く、手が苦手な人は手が描かれているカットを選んで繰り返し描きましょう。

 

筆者も動物を描くのが苦手で、動物ばかり模写していたことがあります。おかげで今では動物の苦手意識はなくなり、モンスターも描けるようになりました。

 

 

 

「写真を模写する」

マンガやイラスト以外に、写真の模写も効果的です。マンガやイラストは作者がデフォルメしたり簡略化して描いていたりすることが多いため、なぜそうのような形状なのか? なぜその角度に曲がっているのか? を理解しないまま描いてしまうとデッサンの狂った絵になってしまいがちです。

 

プロの実物をくずして描いた絵とアマチュアのくずれた絵は全然違います。
画力向上のためには、写真の模写もよい練習になるでしょう。

 

うまく描くためのコツは、うまくモノを見るということです。

 

モノの見方が変われば描き方も変わります。
模写を続けることで魅力的なタッチや構図など、作画センスもだんだんと磨かれていきます。

 

プロも何かを描く時は必ず資料を見て描いています。模写は画力UPに絶対お勧めですよ!

 

(制作:株式会社サイドランチ)
(執筆:山中ユウスケ)
(イラスト:界さけ)

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