キャラクターの表情を豊かにする口と唇の描き方

 

このチュートリアルでは、口と唇を表現するためのテクニックを紹介します。

唇のさまざまな形や、色々な表情の描き方を理解するために、最も簡単な構造を説明します。

そして最後に、それらの知識をカラーイラストに反映していきます。

 

ここで解説する方法の他にも口や唇の描き方はたくさんありますが、私が最もわかりやすいと考えた方法について説明します。

 

以下のイラストを作るために、CLIP STUDIO PAINT EXを使用しましたが、他の描画ソフトウェアでも応用できます。

 

 

1.口の描き方：単純化された構造

 

よりよく理解できるよう、最初に、唇のない口を分析します。

 

口を理解するためには、まず球体で考えます。

開いた口は球体の半分になり、閉じているときは直線、開いているときは三日月形になります。

この方法は、口に独自のボリュームがあることを示すための簡単なエクササイズです。

 

例えば、次の画像1では、遠近法のない最も単純な形状で口を見ることができます。

画像2および画像3では、正面より少し斜めから見たときに、どのように口の形状が変化していくか想像したものを見ることができます。

 

 

 

2.口の描き方：重要な要素

 

口にボリュームがあることが分かったので、奥行きがあることも考慮する必要があります。

それは、口の中の空洞の事です。そして、歯、舌、歯茎は、口を描くために大切な要素です。

口蓋垂、口蓋、すべてのさまざまな歯、扁桃腺など、他の要素をさらに分析することもできます。しかし、今回は基本的な歯、舌、歯茎に焦点を当てましょう。

 

次の図の、左側は口を構成する要素を輪郭で表した例、右側はそれをさらに詳細に描いた例です。

 

 

 

3.唇の描き方：単純化された構造

 

唇は口につながる必須要素です。構造を理解するために、口とは別の最も単純な形で表現してみましょう。

 

以下の描き方では、最初に直線を描き、続いて、丸みや湾曲、引き延ばされた構造などを使用して、遠近法を使わずに唇を描画しています。

唇の太さ、幅、長さは、デザインするキャラクターによって大きく異なることに注意してください。

 

 

丸みを持たせた構造や、湾曲させた構造で口を想像するのが難しい場合は、平面的な領域を描くことから始めるといいでしょう。（ポリゴンの少ないCGのように！）

こうすることで、どの領域に最もボリュームがあるのか、よりよく把握できます。

 

 

 

4.下書きを描く

主な構造

口で解説したのと同様に、唇にも、構造の理解とデザインに役立つ重要な要素があります。まず、それを見てみましょう。

（1）キューピッドの弓

（2）唇交連（上部と下部の唇の接続部分）

（3）人中（口と鼻を接続する皮膚）

（4）上口唇結節（キューピッドの弓の下部分の唇）

（5）上唇

（6）下唇

 

これらの要素を変化させることで、唇のデザインを複数作ることができます。

 

 

 

5.異なる口と唇の形

 

下唇または上唇の厚さにバリエーションつけることで、違う形の唇と口を作ることができます。

キューピッドの弓に印を付けたり、口を広げたり狭めたり、自分のキャラクターに最適な形を探してみるのがよいでしょう。

 

たいてい、小さい口なら内気な性格、大きい口ならより表現力豊かな性格と感じさせます。

例外はありますが、薄い唇は男性的な性格を、厚い唇は女性的な性格を示します。

 

以下が、唇と口のさまざまなバリエーションの例です。

 

 

 

6.同じ顔で唇と口の形が異なる

 

口の大きさや唇の厚みを変える方法が分かったら、キャラクターにどの口や唇のデザインがふさわしいのか、考えてみましょう。

次の画像のように、同じキャラクターにさまざまな変更を加えてみると、大変面白い結果になります。

 

 

 

7.唇と口を通した表情と感情

 

顔には、さまざまな表情をつくるための重要な要素がたくさんあります。目・眉・口・唇など、それぞれの要素同士が合わさり、さまざまな表情を生み出します。

 

ある表情を表現するために、口の部分をどのように変更するべきかを考えてみてください。

喜びなら口角が上がり、悲しみなら通常よりも口角を低く描きます。怒りなら、歯と歯茎がむき出しの完全に開いた口（叫び）で表します。

唇は、挑戦的、恐怖、官能的など、さまざまな表情や感情を伝えるのに役立ちます。

次の画像では、表情豊かな口と唇の例を示しています。

 

 

 

8.口と唇を描くためのさまざまなスタイル

 

基本を理解したら、次は、それらをさまざまなスタイルで描画して、どのスタイルが最適か考えてみましょう。

次の画像では、漫画風、リアル風、コミック風、ディズニー風、そして私のスタイルで描いています。

 

 

 

9.口と唇のテクニックをイラストに反映する

 

最後に、スケッチから最終的なカラーリングまで、顔を描くプロセスを紹介します。

このイラストでは、少し意地悪な表情を作り、ダイナミックなイメージを保った上で、おさまりの良い表情から脱却しようと考えました。

誇張された表現でキャラクターをデザインすることは、楽しくてとても有意義です。