イラストレーター森倉円さんインタビュー ×「創彩少女庭園」

イラストレーター森倉円さんインタビュー ×「創彩少女庭園」

イラストレーター・森倉円さんのインタビュー!コトブキヤのプラモデル「創彩少女庭園」シリーズのパッケージイラストの制作工程や、プラモデルのキャラクターデザインのポイント、イラストの魅力がワンランクアップする表現について伺いました。 ラフから仕上げまでの各工程が見られるメイキング動画もご紹介!

 

 

森倉円

https://twitter.com/morikuraen

制服少女を中心に日常の仕草や季節感のある瞬間を切り取る。

マルイアニメCM「猫がくれたまぁるいしあわせ」、バーチャルタレント「キズナアイ」キャラクターデザインなどを手掛けるイラストレーター。

 

壽屋「創彩少女庭園」

https://sousaishojoteien.com/

「私たちはキャンバス、何にだってなれる。」

コトブキヤ×イラストレーター「森倉 円」による、“創る” “彩る”をテーマにしたプラモデルシリーズ「創彩少女庭園」は、自分の手で「触って作れる楽しさ」「動かせる楽しさ」「カスタマイズできる楽しさ」を感じてもらいたいと考えて始まった、普通の女の子をプラモデルで表現するというシンプルな方向性のシリーズです。

2022年3月に「結城まどか 【桃桜高校・夏服】」が発売予定。

 

 

1.「創彩少女庭園」のキャラクターデザインについて

 

─「創彩少女庭園」のキャラクターデザインのお話を聞いて、はじめにどんな感想を抱かれましたか?

 

以前から存じ上げておりました壽屋さんと一緒にお仕事をさせていただけるとのことで、緊張しつつも大変光栄に思いました。

「創彩少女庭園」は美少女プラモデルの中でも、「普通の女の子」をテーマにしたプロジェクトとのことで、新しい企画をご一緒できることでわくわくしましたし、自分のデザインのプラモデル自体初めてでしたので、どんな感じになるかとても楽しみでした。

 

─「創彩少女庭園」のキャラクター像は「普通の女の子」らしさがテーマですが、結城まどかのデザインで工夫されたのはどんなところでしょうか?

 

様々な女の子がいる中で、「普通」っぽさをどう表現するかはじめは悩みました。

ですのでまずは、これまで私が描いてきた女の子の中で、親しみがありそうなデザインを集約することにしました。

見た目からまどかの性格の明るく柔らかい雰囲気が感じられるようにしたかったので、暗めの髪色やベーシックな紺色、赤色の配色のセーラー服に加え、明るく柔らかい印象が増すようカーディガンを着せたりするなどして全体のバランスを考えていきました。

 

 

△過去に発表された結城まどかの冬服姿(左)と、新作パッケージの夏服姿(右)。

 

─これまでイラストやアニメのキャラクターデザインなどを手掛けられてこられましたが、「プラモデル」のキャラクターデザインで初めて経験して学びになったことがあれば教えてください。

 

これまでポーズが固定の状態のフィギュアにはなったことはありましたが、可動式のプラモデルは初めてでした。

フィギュアですと、固定の角度で魅力的に見えるように考えていました。

でも可動するプラモデルの場合だと、色んなポーズに動かしてもできるだけ違和感が無いように服のしわや髪のなびき方などを考える必要がありそうだなと思いました。

また可動の際に干渉してしまうデザインにすると動かしづらいので、そういった点も気を付けながら魅力的なデザインになるように試行錯誤し、とても勉強になりました。

 

─「創彩少女庭園」は、「自分の手で組み立て、女の子をコーディネートするプラモデル」というコンセプトがありますが、描いてて楽しい、推しているヘアスタイルやポージングなどありますか?

 

同じキャラでも、髪型や服装を変えるとガラッと印象が変わって新鮮です。

イラストで描くときは長い髪の子をアップスタイルにしたりヘアアレンジをして描くのも好きですし、何かをしている最中のような仕草をさせるのが好きです。

「この子のまた違う新たな一面を見てみたいな」と思いながら描くことが多いので、「創彩少女庭園」の色んな方の作例を拝見すると作った方の「こういうのも素敵だよね!」という気持ちが感じられてとても楽しいですね。

暦がリツカ(「創彩少女庭園」のキャラクター。まどかの友達。)の制服にチェンジしてもっとお嬢様っぽくなったり、リツカがまどかのセーラー服になってちょっと頭身が下がったりすると、また違うオリジナルデザインの子ができるような気がして、アレンジが無限大だなと感じています。

 

 

2.結城まどかパッケージイラスト制作について

 

 

2022年3月発売の「結城 まどか【桃桜高校・夏服】」パッケージイラストのメイキング動画です。ラフから仕上げまでの各工程を見ることができます!

 

─現在の制作作業環境を教えてください。

 

PCはWindows10、ペンタブレットはWacomのCintiq 27QHDを使用しています。ソフトはCLIP STUDIO PAINT EXです。

 

─CLIP STUDIO PAINTはいつ頃から使用していますか?

 

2015年ごろからCLIP STUDIO PAINTを使用しています。

当時お受けした仕事の指定のイラストサイズが大きく、その時使用していたペイントソフトでは対応することが難しかったことをきっかけに、CLIP STUDIO PAINTに切り替えました。

初めは線をひいた時の感覚や塗りの感じも違っていてそれに慣れず、中々思うように描けませんでした。

でも早く慣れたかったので、筆圧調整やブラシの設定をいじってみたり、ペンなどの素材をダウンロードして変えてみたり、自分が描きやすくなるよう色々試しているうちに段々慣れてきました。

 

─今回のイラストを描いているときの画面の配置について教えてください。立ち絵、夏服、冬服など数種類の資料を常に画面に表示しながら描かれていますが、いつも資料やラフをこのように表示しているのでしょうか?

 

右利きなので、描写するキャンバスやブラシ、レイヤーなどは全て右側に集めて表示しています。左側には資料や彩色ラフを置いています。

初めに描こうと思ったときのイメージが、描いている間にずれてくる時があるので、なるべくそうならないようにしたり途中で迷わないようにしたりするためにそういった資料やラフを開いて置いている場合が多いです。

 

△線画作画中のイラスト(右)の隣に、色ラフとポニーテール姿の資料が表示されている(左)。

 

─塗りをパーツ分けする際に、ブラシツールで塗り分けている部分と塗りつぶしツールで塗り分けている部分がありましたが、使い分けるポイントはありますか?

 

パーツ分けの際は基本的には塗りつぶしツールで塗り分けています。

線と線が重なり合っている所や細かいところは、塗り残しができてしまうので、塗りつぶしツールで広い面積を塗った後に、細かいところはブラシツールで手塗りしています。

 

△[塗りつぶし]ツールを使用してパーツ分けをしている場面。赤いスカーフの塗残しはこの後[ペン]ツールで修正された。

 

─色の作り方について教えてください。動画では、カラーサークル、カラーヒストリーパレットが大きく表示されていました。この2つのカラーパレットをどのように使い分けているのでしょうか。

 

カラーヒストリーパレットは、部分ごとに塗り終わった後に、塗り残しや調整したいときに使った色が残っているので便利で使用しています。

テンプレートにしているカラーパレットはありません。

決まったキャラクターの時は、基本的には左側にキャラクターの設定資料や彩色ラフを開いているのでそれを基準に塗っています。

シチュエーションのあるイラストの場合は、光や影の当たり具合によっても色味が変わるので、狙った印象になるよう全体のバランスをみながら部分ごとに色の調整をしています。

女の子の肌色は透明感が出るようあえて全体的に彩度を落としてから、部分的に彩度を高くしたりしています。

服の色に関しては、影色や光の当たったところの色によって生地感が変わってきます。

今回は夏の制服ということで、白い布の所は青みがかった影を入れるなどして爽やかな雰囲気が出るようにしました。

 

 

─今回の作品では、完成間際に腕や首の太さなどの線画を修正されていましたが、最終段階ではどのような点を確認されているのでしょうか。

 

線画の段階では問題なく見えたところも、色をぬってみると不自然に感じられるときがあります。

そういった違和感をなるべく無くせるように、全体をみながら違和感を減らしていく作業を最後にすることもあります。

 

△背景を水色に変更して、肌の形を確認しながら右腕の線画修正を行っている場面。

 

─森倉さんの作品は目・瞳が印象的ですが、目の描写について意識されていることを教えてください。

 

なるべく透明感や潤いが感じられたり生きているような印象にしたいので、そういう印象を目指してハイライトを入れていっています。

ハイライトの色や配置は特に決めていないのですが、色々位置を調整しながら自分が一番しっくりする位置に入るよう仕上げています。

 

 

─今回のイラストで注目してほしいポイントはどこですか?

 

夏の爽やかな風や日差しを感じて頂けたら嬉しいです。

今回、まどかが学校にいるときの日常を描くことができたのでその雰囲気を楽しんでいただけたら幸いです。

 

仕事のオンオフの切り替え方や、日常生活で心がけていること

 

私の場合はなるべく決まった時間で区切って作業をするようにしています。

心身を健康に保つようにした方が、日々の中で色んな情報をキャッチしたり、自分の感じたことに目を向ける元気が出て、物事の判断もうまくいくような気がしています。

土日は特別急ぎの仕事がない限りは基本的には家族と過ごしています。

絵を描かない時間も、自分では行かないような場所に行ったり、過ごし方をすることで、見えてくる風景もあるので、結果的に色々なものが絵に還元されている気がしています。

Twitter:https://twitter.com/morikuraen?s=20

 

 

3.CLIP STUDIO PAINTについて

 

─CLIP STUDIO PAINTの公式使い方講座にメイキングが掲載されていますが(2015年~)、CLIP STUDIO PAINTの使い方に変化はありますか?

 

筆圧調整は最初に調整しましたが、ブラシ設定は基本的にそのままでデフォルトのブラシで描くことが多いです。

小物などを描くときに、人物と違う質感で描きたい時は、そのためにブラシ素材などをASSETS(※)からダウンロードして使用したり、ブラシの設定をいじったりすることもあります。

よく使う動作を編集タブからいちいち選んでいた時期が以前あったのですが、途中からそれらを画面上にアイコンで1列に表示させることで、より感覚的に作業を進めることができるようになったのは作業効率向上のために役立っております。

CLIP STUDIO ASSETS:CLIP STUDIO PAINTで使用できるブラシや画像、3D素材がダウンロードできるサイト。無償・有償合わせて10万点以上の素材が公開されている。

 

CLIP STUDIO PAINT TIPS プロのイラストメイキング:森倉円

https://tips.clip-studio.com/ja-jp/series/56

 

コマンドバーを編集する

 

CLIP STUDIO PAINTのメインウィンドウ上部にある各種機能のアイコンが並んでいる部分を[コマンドバー]といいます。

[ファイル]メニュー→[コマンドバー設定]から、[コマンドバー]にコマンドのアイコンを追加・削除したり、アイコンの位置を変更したりできます。

初期設定では[取り消し]、[やり直し]、[塗りつぶし]、[拡大・縮小・回転]、[定規にスナップ]などが表示されています。よく使う機能を登録しておくと、メニューやウィンドウを開く手間を省くことができます。

 

例:[フォルダーを作成してレイヤーを挿入]を選択し、[追加]をクリックすると、コマンドバーにアイコンが追加されます。

 

 

 

─ご自身でブラシや画像などの素材を作成したりする事はありますか?

 

ブラシをカスタムできる人に憧れて挑戦してみたことはあるのですが、デフォルトのペンが私には結構使いやすいです。

配布しているブラシの種類がとても多く、なおかつどんどん新しく追加されていくので、それらを使用させていただくことが多く、自分で作ることは中々ないですね。

 

─ASSETSでダウンロードした素材は作品の中でどのように活用されているのでしょうか。

 

ASSETS素材にはとてもお世話になっています。特に細かい柄ものテクスチャやブラシは手で描くよりクオリティが高く時短になることが多く助かっています。

そのまま使うとテイストの違いなどで浮いてしまうこともありますし、曲面などに対して平面の柄のままですと違和感がある時もあるので、そういった場合はイラストに合うように加筆したり変形したりして馴染ませることが多いです。

仕上げなどで使用することが多いキラキラした不規則なものも手で描くと結構時間がかかるのでとても便利です。

自分では思いつかなかったような質感になるブラシを見つけたりすると、それが生かされるような新しい表現をやってみたくなったりすることもあるのでとても刺激になります。

 

 

4.イラストを描いている人へのメッセージ

 

─イラストがうまくなりたい人向けに、光の入れ方や色の重ね方など、キャラクターイラストの見映えをワンランクアップさせるテクニックを教えてください。

 

私もまだまだ勉強中なのですが、色んな物をよく観察し、自分が素敵だなと感じた気持ちを大事にしてそのイメージを自分の手で具現化できるかを繰り返していくと、自分の思うような表現に近づいていけるのかなと思っています。

私の場合ですと、画面全体の雰囲気作りも好きですし、その一方で、身体の細かいパーツにも魅力を感じることが多いので、どちらも生かされるように明暗の部分を考えることが多いです。

キャラクターに関しては、特に見てほしい所に目が行くようにハイライトを入れたり描きこんだりすると、その部分が目立つようになるかなと思っています。

画面全体を見たときに見てほしい部分や優先順位を始めに大まかにでも決めてから描きこんでいくと、印象付けたいところとそうでない所のメリハリが付きやすくなるかなと思っています。

 

 

─最後に、幅広い年代から持されている森倉先生ですが、特に10代のうちにやっておいて良かったこと、逆にやっておけばよかったことなどありますか?

 

その時やりたいことを思いっきりやるのが良いと思います。

人それぞれ環境が違いますし、その時々で感じたことは自分だけのものなので、その気持ちを大切にしていけばどの瞬間も得るものがあるんじゃないかなと思っています。

私の場合は絵ですが、何かを作ることはそれ自体も楽しいですが表現する手段でもあるので、引き出しは沢山あった方が役に立つんじゃないかなと感じています。

 

─ありがとうございました!

 

 

森倉円

https://twitter.com/morikuraen

制服少女を中心に日常の仕草や季節感のある瞬間を切り取る。マルイアニメCM「猫がくれたまぁるいしあわせ」、バーチャルタレント「キズナアイ」キャラクターデザインなどを手掛けるイラストレーター。

 

壽屋「創彩少女庭園」

https://sousaishojoteien.com/

“創る” “彩る”をテーマに、キャラクターをお好みでコーディネートしていくコトブキヤ発のプラモデルシリーズ。
キャラクターデザインは多方面でマルチに活躍中のイラストレーター「森倉 円」さん。
YouTube「創彩少女チャンネル」では、まどか、暦、リツカの三人によるショートドラマやキャストによるプラモデル制作、商品情報など様々な動画を配信中です。
インターネットラジオステーション<音泉>「創彩ラジオ」も好評配信中!
公式HP:https://sousaishojoteien.com/
公式Twitter:https://twitter.com/SOUSAI_official
創彩少女チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCtj9nEJ4hZ8M2KWnhzvfeag
創彩ラジオ:https://www.onsen.ag/program/sousai

 

© KOTOBUKIYA

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