急成長中の「縦スクロールマンガ」について、ピッコミックスの中の人に聞いてみました

急成長中の「縦スクロールマンガ」について、ピッコミックスの中の人に聞いてみました

急成長しているマンガアプリのピッコマから生まれた出版社、株式会社ピッコミックス 代表取締役社長 西村亮太さんにインタビュー!マンガの新たな形である縦スクロールマンガと、マンガ業界の未来について、聞いてみました。

 

 

今回取材をさせていただいた西村さんが登壇するオンラインイベントが10月29日に開催されます。SMARTOONに挑戦中のマンガ家さんも登場し、創作のコツや苦労なども聞けちゃいます!

無料ですのでぜひご参加ください。

 

作家・読者・編集者が「これからのマンガ」を語ります!描き方・読み方・売り方はこれからどうなる?

https://class101live1029.peatix.com/

 

 

異業種からの転職でマンガ編集に

 

―今、どのようなお仕事をされていますか? 

 

西村 株式会社ピッコミックスで代表取締役社長をしています。

会社の経営をしながら、今もマンガの編集や連載の決定、持ち込まれた企画に対するアドバイスを行っています。

 

―ピッコミックスの前はどのようなキャリアを歩まれていたのですか?

 

西村 もともとは、金融業界の出身でファイナンシャルプランナーとして働いていました。

それから今後盛り上がりそうだと思ってIT業界に注目し、株式会社ディー・エヌ・エーで携帯ゲームのプロデューサーをしていました。

 

2013年頃、マンガボックスというアプリの立ち上げに携わることになり、ここで初めてマンガの編集に関わりました。

当時は、マンガ業界に関する知識を会社の誰も持っていなかったので、某編集部で見習いとして働いたこともありました。

その経験を自分の会社に持ち帰ってゼロから組み立ていく日々でしたね。

 

 

どんなに面白いマンガも読んでくれる人がいなければ意味が無い

 

―マンガ業界に入られて一番苦労されたご経験を教えてください。

 

西村 株式会社ディー・エヌ・エーにいた頃、『ホリデイラブ〜夫婦間恋愛〜』という作品の編集を担当しました。

 

許されない恋愛に家庭内DVなどの社会問題を交えた「絶対に売れる!」と確信した作品だったのですが、連載開始してから1、2年の間は単行本もあまり売れず、その作品を売る強力な手段を見つけるのに苦戦しました。

 

面白いのに世の中に知らしめる方法はなんだろう、と考えて思いつくことはなんでもしました。

 

特に、作品のターゲット層でマンガ好きの人が通っていそうな美容院をウェブサイトで検索し、上から順番に手紙を書いて単行本をお送りしたこともあります。

 

地道な営業活動が実を結び、マンガに対する口コミが広がり、作品はテレビドラマ化され、深夜ドラマとしては好調の平均視聴率5.8%に。

その後ウェブ媒体でもドラマが配信され、ウェブマンガでも閲覧者数300万人を突破、単行本も大ヒットとなりました。

 

この時は、クリエイターさんの魂がこもった素敵な作品を通してメッセージを読者さんに伝えていくという素晴らしい経験と、作品を一緒に世に出して成功してもらうサポートをするということに、とてもやりがいを感じた瞬間でした。

 

その後も3年間で15作品ほどマンガを立ち上げ、自分自身で出版社を立ち上げて本格的にマンガ業界を盛り上げたいと強く思うようになり、今のピッコミックス設立の原動力となりました。

 

 

縦スクロールという新しいマンガの形を追求

 

 

―ピッコミックスの一番の特徴を教えてください。  

 

西村 通常のマンガに加えて、SMARTOONというフルカラーの縦スクロール形式のマンガをメインに出版する会社であること、そしてSMARTOONの電子マンガ・ノベルサービス ピッコマでの連載をメインに配信しているというところです。

 

 

今ニーズが大きい日本で市場に加えて、世界に配信することにも注力しています。

逆に、海外のマンガ家さんの作品を日本語に翻訳して、ピッコマでの連載に向け制作もしています。

 

丁寧な作品作りは最も大切にしており、大手出版社での経験もある編集者が、SMARTOON初心者のマンガ家さんをしっかりサポートできる体制も整えています。

でも、その愛を込めて作った作品が売れなければ仕方ない。読んでもらえなければ意味がない。

だからこそ、「売れる仕組み」をしっかり使ってマンガ家さんを成功に導くお手伝いをしています。

 

 

―SMARTOONの特徴を教えてください

 

西村 SMARTOONは、一般的には「縦スクロールマンガ」や「ウェブトゥーン」とも呼ばれています。

通常のマンガと異なり、スマートフォンで読むことを前提にしている形態で、フルカラー、縦スクロールで読むのが特徴です。

 

 

読みやすく、モノクロ印刷の従来のマンガよりも迫力と臨場感があり、韓国発のデジタルコミックなのですが、今では国際的にこの形が人気になってきているんです。

 

 

チームで作り上げるSMARTOONは、クリエイターの働き方を変える

 

―ピッコミックスのSMARTOONは、どうやって作られているんですか?

 

西村 ピッコミックスのSMARTOONで、マンガ家さん1人で描き上げているものって実はほとんど無いんです。

すべてのSMARTOONは、チームで完成させています。

SMARTOONは、ざっくりプロット(ストーリーの組み立て)、ネーム(コマ割りなどを記載した大まかなラフの作成)、モノクロペン画、着彩、そして仕上げという工程で1つの作品が出来上がっていきます。

 

各工程ごとに色々な人が関わっているんです。例えば、プロットだけ考える人がいて、モノクロペン画は別の人が担当している。こういう新しい作品の作り方をしています。

 

こういう方法を取り入れている理由は大きく2つあります。

まず、フルカラーという特性もあり従来のマンガと比較すると色付けまでしなくてはならず、マンガ家さんにかかる負担が大きいんですね。

 

さらに、ウェブ媒体で連載するという特性上、紙媒体よりも更新頻度が必要なんです。

連載スピードが速くないとせっかく読んでくれていた読者さんが離れていってしまう。

だからこそ、チーム編成にしてより効率よく質の高い作品を掲載できているんです。

 

 

―なるほど、ということは物語は考えたいけれど、絵は描けないという人でもSMARTOONの制作に関わるチャンスがあるということですか?

 

西村 はい、まさにそうです!

 

これまでは物語の企画から作画まで全部できるスーパーマンしかマンガ家になるチャンスが無かったのですが、分業することでより幅広い人にマンガ制作に関わるチャンスを生み出したいと思っています。

だから、ペン画は描くけれど、色付けはお任せしたい、なんて人も大歓迎です!

もちろん従来のようにまるっと1人で担当したいというマンガ家さんもウェルカムです。

 

このような感じで「マンガ業界の働き方改革」も率先して行っていきたいと思っています。

分業体制はもちろんですが、クリエイターさんへの報酬の支払い方についても色々な可能性を模索しています。

従来のマンガ家さんだと「原稿料+印税」という報酬の支払い方が多かったのですが、安定した収入がほしいという人には、サラリーマンと同じように固定給にしたり、制作物を丸々買い取ったりと契約形態もフレキシブルに考えています。

SMARTOONは従来のマンガと違い、制作への関わり方が色々なので、報酬の支払い方も色々でいいんじゃないかと。

 

 

―連載までの流れはどのように進むんでしょうか? 

 

西村 クリエイターさんから持ち込まれた企画は全て、編集部のメンバーで読み、連載の可能性があるかどうか議論した後、お返事をしています。

持ち込みの形式なんですが、先ほど申しましたように、SMARTOONは、制作工程の一部でも関われるので、特にこれといった決まりはありません。

原作案の文章だけ送ってこられる人もいれば、企画書、ネームや作画サンプルなど、どんな形式であっても、全て見させていただいてます。

 

連載の可能性がある企画は、その後、冒頭数話分のネームを完成してもらった後に連載会議でディスカッションしています。

この会議で連載決定が決まると、作品に関わるメンバーとの契約やお支払いが始まっていく流れです。

ここから始まる連載準備が結構大変で、数ヶ月かけてフルカラーの原稿10話以上を制作していきます。

その後ピッコマで連載を開始し、その後も1週間に1話のペースで制作を進め、連載していきます。

 

 

―縦スクロールマンガではどんな作品・作家さんが求められていますか?

 

西村 主なアプリ(ピッコマ、LINEマンガ、comicoなど)で人気上位の作品を見てみるとイメージが沸くかもしれません。

やはりニーズが大きいのは、ファンタジー、アクション、恋愛、サスペンスなどです。

特にピッコミックスではファンタジーに力を入れていて、わりとベタなストーリー展開のものが今トレンドになっています。

例えば異世界への転生、タイムリープや別世界への転移、過去に戻って人生のやり直しなど、こういう展開のあるストーリーは連載の可能性が高いです!

 

縦スクロールマンガの描き方について知識が無いと不安に思うマンガ家さんも多いと思います。

まだ日本での情報は少ないですし、自己流で勉強しているけれど正解がわからず模索しているマンガ家さんも多いです。従来のマンガとは、描き方はもちろん、企画の立て方から違います。

こういった状況だからこそ、私たちピッコミックスの編集部員たちが作家さんをしっかりサポートして作品作りに集中できるような環境を整えたいと思っています。

 

 

可能性の大きな、新しい市場に注目してほしい

 

 

―縦スクロールマンガの将来性について教えてください。

 

西村 日本のマンガ業界は、50年以上進化し続けてきていて不朽の名作も数多く生み出されてきました。

 

だからこそ、これからマンガ業界に参入していくにはなかなか厳しいのも現実です。

今のマンガは設定も複雑化していて、いかに他のストーリーと差別化するかが必要。

さらにはアニメ化などの強固なマーケティング戦略を勝ち取っていくほか難しいです。

ベテランですでにネームバリューのあるマンガ家さんと肩を並べることができるのはほんの一握りかもしれません。

 

それと比較するとSMARTOONはまだ始まったばかりで日本での知名度も従来のマンガほどではありません。

 

だからこそまだ今は競争も少なく、さらにアプリやウェブでの連載を前提としているので自分の作品をいちはやく世界に配信できるチャンスがあるんです。

実際にその夢を叶えたマンガ家さんたちもすでに多くいらっしゃいます。

未経験のマンガ家さんや、マンガ制作の一部分だけ関わりたい人にも成功するチャンスがありますし、ピッコミックスはそういう人たちをサポートしています。

 

私たちは、作品やマンガ家さんとの出会いを「一期一会」だという想いで日々取り組んでいます。

新しいマンガの形を新しい制作方法で一緒に作っていきたい人はピッコミックスへの企画持ち込みをいつでもお待ちしています!

 

ピッコミックス

https://piccomics.co.jp/

 

ピッコミックスの漫画家募集ページ

https://piccomics.co.jp/creator

 

 

記事提供:CLASS101 イラスト・マンガ班

CLASS101(ワンオーワン)は「すべての人が好きなことをしながら生きていける世の中を創る」をミッションに、習いたいクラスをいつ、どこでも納得がいくまで受講できるオンラインレッスンプラットフォームです。連載では、デジタルイラストやマンガに興味がある方が「知りたい」「学びたい」情報を発信します!

 

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