【新人作家vs村田雄介】ガチンコ質問バトル~引き込まれる導入の作り方~

漫画作り。それは真っ暗闇の中で、手がかりもなく「面白い」を探し続ける 孤独な闘い。そんな悩める新人作家に連載作家が徹底レクチャー! ヤングジャンプ新人漫画賞「シンマン賞」大人気のインタビュー企画より村田雄介先生のガチンコレクチャーが特別掲載! テーマに沿った貴重なお話を見逃すな!!

迷える新人作家の前に…最強ジャンプ遺伝子登場ッ!!

ありがたい原稿への直接アドバイス!繰り広げられるアツい漫画談義!!目を凝らせ!筆を握れ!若き才能たちよ!!!

 

読者を惹き付ける導入の組み立て方ってどうすればいいのか?

今回は新人作家・毛利綾花氏が魅力的な冒頭の作り方について村田雄介先生に質問をぶつけるぞ!!

 

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新人作家・毛利氏の作品。作品冒頭2〜3ページ目。

女性を襲う怖そうな敵のもとに仮面を被った謎の2人組が颯爽と登場!

能力、性格などその素顔はまだ謎に包まれている。

 

毛利氏(以下、毛利):読者を引き込むのに、導入の作り方は非常に重要だと思うのですが、私の作品をご覧になって、いかがでしょうか…?

 

村田先生(以下、村田):手順はとてもいいと思います。最初に敵が出てきて、主人公がかっこよく登場し、倒してくれる。それで「こいつは一体何者なんだろう?」ってところで読者をお話の中に引っ張っていくわけですよね。

 

でも僕なら冒頭あたりに主人公が面白い敵の倒し方をしているシーンを入れるかなあ。

 

毛利:面白い倒し方・・・ですか!?

 

村田: 最初の数ページで読者のハートをわし掴みにしたいなら、導入で「このお話に出てくるキャラクターはこういうやつで、この物語はこんな楽しみ方ができる作品なんですよ」っていうのを読者に見せてあげるんです。

 

要はキャラクターの魅力を冒頭で読み手に示してあげる。この作品の場合、敵は倒してるけど、主人公がどんな奴なのか、どんなことができるのかという部分がまだぼんやりしてる。

 

もっと能力とか性格とか、読者を強く惹き付けるキャラの魅力を、もったいぶらすに出しきっちゃっていいと思います。それさえ出来れば掴みはオッケーという感じです!

 

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『ワンパンマン』達載初めの第1話でいきなり敵を一撃でブッ飛ばすサイタマ。

キャラクターの魅力(ワンパンで敵を倒してしまう)を初めに示し、読者の興味を引く作りとなっている。

 

毛利:なるほど。でも私が描いてるようなファンタジー作品って、まず先に世界観を説明しないと読者がついてきてくれないんじゃないかって不安に感じてしまうんです。

 

村田:確かに、ファンタジーやSFって説明しなくちゃいけないことが山のようにありますよね。

でもそれが説明くさい表現だと読者は目を向けてくれないですよ。

 

そもそも読者が本当に見たいものって、例えば不良漫画なら喧嘩のシーンだったり、恋愛漫画なら可愛いヒロインとの出会いの瞬間だったりするわけじゃないですか。

 

だから、できるだけ早くそこまでお話をもって行ってあげて欲しいんです。見所までの展開が長すぎるとやっぱり読者はついてきてくれない。

 

毛利:では、どうすれば説明くさくならずに、読者に作品の世界観を伝えることができるのでしょうか?

 

村田: 説明ではなく、感情の部分、キャラクターの気持ちにスポットを当てて描写すれば読み手も興味を持ってくれると思いますよ。

 

そもそも僕は漫画の「世界観」という言葉って捕らえ方が広すぎるなって感じるんです。

 

これはある漫画家さんの言葉ですが、漫画の世界観ってその作品の設定や説明の事ではなくて、作品の登場人物がその世界や状況のことをどういう風に感じているのか、どんな視点で捉えているのかなんです。

 

恋愛モノならお互いの事やシチュエーションをどう思っているのかという部分を、説明ではなく具体的に気持ちに焦点 を絞って描いてあげる。それが、そのキャラから見える世界観に繋がるんじゃないですかね。

 

毛利: キャラクターの気持ちを描くことが、作品の世界観を伝えることに繋がるんですね。

 

村田:僕は原作者ではないですが、どんなに絵を一生懸命描いても、キャラクターの気持ちを丁寧にすくってあげないと、その作品は何の価値も無いものになってしまうということは作画家として常に意識しています。

 

キャラクターの気持ちを描くには、普段から自分が周りの世界をどう見ていて、日常にどんな側面を感じているのか、そしてそれをどうデフォルメして漫画の中に済とし込むのかが重要。

結局、キャラクターが考えてることって、作家の物の見方の投影なんですよね。

 

だから常日頃から自分が世界や人のことをどう見ているのかを確立しておくと、いざという時の漫画作りに活かせるのかもしれないですね。

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(C)ONE・村田雄介/集英社 (C)毛利綾花/集英社

 

※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『人気漫画家に学ぼう!』の村田雄介先生へのインタビュー第一週を特別掲載しました。

 

第二週~第四週でも様々な悩みをもった新人作家さんたちがシンマン審査員・村田先生とのガチンコ質問バトルを展開!

気になる内容はヤンジャン「シンマン賞」公式サイト(http://youngjump.jp/shinman/)でチェック!!

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シンマン賞特別企画 『人気漫画家に学ぼう!』 

(第21回 審査員:村田雄介 新人漫画家:毛利綾花・市村基・白水裕貴・大嶋恭平)

 

<作家紹介>

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■毛利綾花
シンマン賞への投稿を目指し、現在はファンタジー を題材に作品を執筆中。

つい物語の前半で舞台設 定にページを割き過ぎ、肝心の見所が薄くなってしまうのが最近の悩み。

 

■村田雄介

02年より「週刊少年ジャンプ」にて原作者・稲垣理ー郎と「アイシールド21」を連載開始。

12年よりONEとタッグを組み「となりのヤングジャンプ」にて「ワンパンマン」を連載開始。 累計400万部の大ヒットとなる。

圧倒的な画力とWEBならではの新しい漫画表現で幅広い世代から支持を受けている。

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