【共感できるキャラとは?】稲葉そーへー先生に学ぶ漫画作りのポイント!

漫画作りの極意を探るこの企画!! 今回はヤングジャンプ読者はおろか編集部まで和ませる大人気作品「しらたまくん」を連載中の稲葉そーへー先生に、新人漫画家3人が共感できるキャラクター作りのポイントなどを伺います! ヤングジャンプ新人漫画賞「シンマン賞」大人気企画から特別掲載!

大人気作品「しらたまくん」を『週刊ヤングジャンプ』で連載中の稲葉そーへー先生に、新人漫画家3人が漫画作りの極意を伺います!

 

キャラ作りにおける共感

金沢:稲葉先生が漫画を作るときは、まずキャラからですか?それともストーリー作りから始めますか?

 

稲葉先生(以下、稲葉):僕は完全にキャラクターからですね。もともと『しらたまくん』を描こうと思ったのは、前作『ヘ~せいポリスメン!!』に出てくる「ダンナ」という猫のキャラがきっかけなんです。

 

彼女を描くのがすごく楽しくて、次回作は猫の話が描きたいなと思っていたんです。だから白玉君は描いていて楽しいですし可愛いです。前作の主人公・轟豪(ゴウゴウ)に対しては、「こいつやばいヤツだな、ウケるな」って思いながら描いてましたけど(笑)

 

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▲これが白玉君が生まれるきっかけとなった猫・ダンナと轟豪。なんとも精悍な寝相だ。

 

 

安藤:そうだったんですね(笑)そういえば白玉君は何故オス猫になったんですか?

 

稲葉:男子高校生がメス猫愛でてるより、女子高生がオス猫撫でてる方が絵的にもいいだろうというのもありますが(笑)やっぱり主人公は自分を一番投影するキャラクターなので最初から男のつもりでしたね。

 

あと白玉君というキャラを作っていた時に「気持ちいいと、のどがゴロゴロ鳴っちゃう」という設定があって、僕のイメージに一番近いのが思春期の男子高校生だったんですよ。年頃の男の子特有の抗いようのない興味ってあるじゃないですか。

 

白玉君はネコだけど、彼も男子高校生なわけで「のどがゴ口ゴ口して、気持ちいいのが周りにバレちゃう」とか「目線が低いから同級生のス力ートの中が見えちゃう」みたいな、思春期男子ならではの悩みや恥ずかしさみたいなものを描きたかったんです。

 

そこが『しらたまくん』の魅力の一つなのかなとも思っています。だからぜひ若い男性読者の方には、白玉君の悩みに共感して欲しいですね。

 

安藤:なるほど。やはりキャラクターを作るうえで共感は大事なんですね!

 

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▲興味があるからこそ目を背けてしまうのは思春期の男の子ならでは。

 

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▲照れや恥じらい生む「人間くささ」が白玉君のなによりの魅力なのだ。

 

共感って「憧れ」でもあるのかもしれません。

稲葉:やっばりキャラクターにどれだけ感情移入してもらえるかは大切だと思います。僕の場合は、少なくとも自分が共感できるキャラ、自分を投影したキャラを描きます。

 

ちょっと難しいんですが、共感って「わかるわかる」っていう「等身大」に対する感情だけじゃなくて、「この人のこういう部分すごいな」っていう「自分には無いものを持っている人への感動」も価値観的には共感だと思うんです

 

『るろうに剣心』の剣心とか『キングダム』の信って、もちろん共感できるけど、実はめちゃくちゃすげーヤツなんですよね。そういう意味では共感って「憧れ」でもあるのかもしれません。

 

優しいヤツなら、世界で一番優しいヤツくらいに描いて「こういう人っていいな」って感じてもらうのも共感の一つなんですよ。むしろ漫画の登場人物としてはそれくらいの方がいいのかもしれませんね。

 

古宮:ひとえに共感といっても、そこには種類があるんですね。ちなみに稲葉先生のキャラ作りはどちらをベースにされていますか?

 

稲葉:作風もありますが、僕は自分が実際に会った事のある人の特徴をキャラに反映したりします。それが一番リアルだと思ってます。優しいキャラを描きたかったら、自分の周りの優しい人をまず思い浮かべますし、ム力つくキャラだったら、自分がムカつくと思う人を思い浮かべます(笑)

 

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▲「しらたまくん」に登場する個性豊かな登場人物も本当は実在するのかも…?

 

 

金沢:自分の身近なところにキャラ作りのヒントが眠ってるんですね!

 

稲葉:ちなみに僕が一番嫌なヤツだと思うキャラクターは『天空の城ラピュタ』のムス力大佐です(笑)とはいえ「嫌なヤツ」っていうのもキャラを立てるうえで重要な要素なんですけどね。もしかしたら宮崎駿監督の近くにムス力みたいな人がいるのかもしれませんね(笑)

 

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<作家紹介>

■稲葉そーへー

埼玉県出身。2008年にヤングジャンプ増刊『漫革ルーキーズ』にて「お引っ越し筋肉!」でデビュー。2009年に『週刊ヤングジャンプ』にて読切「へ〜せいポリスメン!」を掲載後、翌年「へ〜せいポリスメン!!」で初連載。独特なネタの切り口とシュールなツッコミで形成される新感覚コメディが幅広い読者から支持されている。

 

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■安藤岡田(左)

YJ主催1day漫画オーデイション@コミティアで「甲乙少女」が大賞を受賞。となりのYJで同作品を5話集中連載。

■古宮海(中央)

#25回シンマン賞で「ぼくは大人になれない。」が佳作を受賞。同作品がYJ46号に読切掲載しデビュー。

■金沢真之介(右)

#25回シンマン賞で「まさかの武蔵」が期待賞+審査員特別賞を受賞。

 

※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『人気漫画家に学ぼう!』稲葉そーへー先生へのインタビュー第一週を特別掲載しました。

 

第二週~第四週でも引き続き新人作家さんたちとの座談会を実施!物語とキャラクターの形成についてや、演出の見せ方や表現について伺います!!

気になる内容はヤンジャン「シンマン賞」公式サイト(http://youngjump.jp/shinman/)をチェック!!

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シンマン賞特別企画 『人気漫画家に学ぼう!』 

(第29回 審査員:稲葉そーへー 新人漫画家:安藤岡田、古宮海、金沢真之介)

(C)稲葉そーへー/集英社 (C)安藤岡田/集英社 (C)古宮海/集英社 (C)金沢真之介/集英社

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